#15白か黒か。先生も間違いを犯す。黒に見えても、白のときも有る。疑わしきは罰せずではなく、疑わしきを決めつけた教師がくれた心の一生傷。ただ、先生とはいえ、一人の人間なんだよね。(貧困幼少期からNPO代表理事までを100日で振り返る)
私は前回羨ましかった相手に困らせる行動をしてしまいました。
今回の記事で先生に対して悲しい感情を持ったという反応を貰いました。それでも先生であっても完ぺきではないんですよね。どこまでいっても人は人。
賽は投げられた
嫉妬心が消えることはなかったものの、嫉妬から劣等感へと変わりつつありました。羨ましいという気持ちは消えずにありましたが、母を困らせてしまっている自分という存在を可哀そうだと思い始めていました。
劣等感は、いきなり生まれるわけではなく、ちょっとした体験の積み重なりで生まれるのではないかと感じています。
数日たったある日の下校時間
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私が鍵を隠してしまったあの子の鍵が、なくなってしまったのです。
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前回は私が理由でしたが、今回は知りません。
ランドセルに教科書を片付けているところでしたが、突然先生が机の目の前に立ち、片付けている手を止め、私の腕を強く掴み教室から連れ出しました。
なんだ?!となっている中で、連れて行かれたのは、教室から離れた視聴覚室です。先生は部屋に誰もいないことを確認して先に私を入れて、扉を閉めると同時にこう聞きました。
『鍵がなくなったらしいんやけど、何か知っているんじゃないの?』
ブンブン(首を左右に振る)
『隠したんでしょ?どこにやったん?』
「・・してない。」
『嘘をつくのは辞めなさい。あなたでしょ?』
「やってない・・・・」
先生はしゃがんで私の両腕を強く掴み、目を見て同じ質問を繰り返します。
『今なら、先生ね、怒らないから。』
「してない…」(涙が目に溜まって、床に落ちます)
涙を拭う事すらできない状況です。人気者の先生でいつも笑顔で優しい先生でしたが、その時は怒りが全身から溢れていました。
『泣いてもだめよ。どうしてそんなことするの?キーホルダーが欲しいなら先生・・買ってあげるから!』
「してない(大泣)」
した・してないの会話が繰り返され状況が膠着します・・・
『もうわかった!!じゃあ先生、道具箱みるからね!それで出てきたら、嘘をついているって分かるんだらからねッ!』
「見ればいい…(ぐず…泣)」
足早に先生は部屋を出て、私は先生を追いかけるように涙を拭きながら教室に戻ります。先生は私のお道具箱を勢いよく引出したことで、その勢いから中身のペンや消しゴムが床に落ちました。
お道具箱が終わると・・・ランドセル・・・・
ランドセルが終わると・・・手提げバック・・・
私が持つすべての荷物を確認しました。
先生は『どこにやったの?』と言いながら調べていましたが、何も出てきません。先生が私の荷物を見た後、涙が止まらなくて、泣きながら帰りました。
(かなしい・・かなしい・・かなしい・・・。
くやしい・・くやしい・・くやしい・・・。)
泣いていたものの、部屋の鍵を開けて母の靴に気づくと一瞬で泣くの止めなければ!と焦りました。
(泣いていることはバレないようにしなければならない・・)
『どないしたん?』
「ううん。なんもない・・」
『何でもないって泣いてるやん』
「ないてない。。」
ただ、先程の先生と対極的な母の姿に涙腺が緩み「泣いてない・・・」といいながら、じわじわ涙がこみあげて溢れてきます。
『どないしたん?言ってみ?』
(言えない・・言えない・・・。)
子供ながらにも猛烈に侮辱的なことをされたと理解していました。
「言えへん・・・」
『どーしたんな?』
母がぎゅっと抱きしめてくれると、言葉と感情が一気にこみあげて、大声で・・
「鍵が、鍵がなくなって・・せん・・先生に・・・先生に・・・してへんけど、したっていわれた・・。お道具箱とか全部先生に調べられたーー!」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!
全てを言い終えると、もっと悲しくなって涙が溢れました。
母は拙いながらも状況が分かったようで、すぐさま『学校行くよ』と支度を始めました。
「えっ?なんで?」
『先生に言いに行く』
「いい・・・」
『よくない。してないことはしてないんやから。あんたもな、してないんやから、そこでいいっていったらあかん。』
学校に向かう道中、一大事になってしまったことを後悔していました。
(なんでお母さんにいってしまったんや・・・)
先生を訪ねて、母と話し合う中で、私だと決めつけてしまったこと、持ち物検査してしまったことを謝罪してくれましたが、先生は申し訳ない事をしたと泣いていました。
私はまたやってしまったと自分を責めました。
帰り道『先生もな、間違いはあるんやで。だからな、違う時は違うっていうことは大切やで。前回はしたことはあかんことやけど、今回は違うんやったら、曖昧にせずちゃんと違うって言い続けなあかん。』
「うん・・」
そういいながらも、内心先生に違うって言い続けたのに、信じてもらえなかったこと、キーホルダーが欲しいなら買ってあげるからという言葉がずっと繰り返し再生されました。先生は私がキーホルダー欲しいからしたって思ってはったんかなと想像すると、なんかとても自分が惨めになりました。
お父さんいない家やからキーホルダーが欲しいって思われたんかな・・
うちの家ってそんなに可哀そうな家なんかな…
段々と母が言っていた普通の家の子じゃないということを理解するようになっていきます。
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ささいなことで人生は変わると信じています。
それは、人生の大きな決断の手前にあるキッカケになるのではないかと。節目を思い出すと決断の前には、ささいなキッカケがあったからです。見て下さったあなたの何かのキッカケになればと思って綴っています。
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