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講談社ルビー・ブックスと英語多読
英語学習者が洋書を読もうとするとき、一番の壁は語彙だと思います。八島等が報告した「日本人高校生の語彙サイズ」によると、都立A高校3年生の平均語彙数は3853語でした。この程度のボキャブラリーでいわゆるベストセラーを読もうとしても、知らない単語が多すぎて、なかなか最後まで読了できません。電子書籍リーダーの辞書アプリを使えば、未知語を瞬時に調べることも可能ですが、それでも忍耐力が要求されるでしょう。
講談社インターナショナル株式会社は「講談社ルビー・ブックス」を販売しています。ルビー・ブックスでは、難しい英単語や慣用表現に「ルビ訳」を付けて、読者の便宜を図っています。ただし、これらの本は多読には向いていないようです。人工知能Perplexity AIに「Are interlinear glosses incompatible with extensive reading?」と尋ねてみると、以下のような答えが返ってきました↓
While both approaches have value in language learning, they serve different purposes and are typically not used simultaneously. Extensive reading is more aligned with building general language proficiency through exposure, while interlinear glossing is better suited for intensive study of specific texts or linguistic features.
どちらの方法も言語学習に価値があるが、目的が異なるため通常は併用されない。多読は、英語に触れることによって一般的な言語能力を身につけることに適しており、ルビ訳は特定のテキストや言語的特徴を集中的に学習するのに適している。
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たとえば、講談社ルビー・ブックスの「The ABC Murders (Agatha Christie)」の28~29ページには計572単語が載っており、その行間に87個のルビ訳が付いていました(15%)。同じく、「Childhood's End (Arthur C. Clarke)」の16~17ページには計544単語が載っており、その行間に52個のルビ訳が付いていました(9.6%)。
多読ではやさしいテキストを読みます。具体的には全単語の98%以上が分かる英文です。知らない単語が全単語の10~15%を占める本は、多読教材としては難しすぎます。
必ずしもルビ訳すべてに目を通す必要はありません。自分が知らない単語のルビ訳だけ見れば良いのですが、ルビ訳が多すぎて少々ウザイという印象を受けました。講談社は英語学習者の便宜を図っているつもりですが、ルビ訳の数が多すぎるようです(苦笑)。
アガサ・クリスティのThe ABC Murdersを読みたい人には、グレイデッドリーダーをお勧めします。たとえば、Penguin Active Reading Level 4やCollins Agatha Christie ELT Readersでは、英語学習者のためにやさしく書き直したペーパーバックを用意しています。総語数もオリジナルの半分なので、比較的取り組みやすいと思います。
ボキャブラリーが少ない人にとって、ルビ訳は確かに便利です。しかし、多読をするときは、学習者のレベルに合わせて構文や語彙を調整したグレイディッド・リーダーの活用をお勧めします。