#135 龍馬伝(2010)-第28話で燃え尽きた私
NHKオンデマンド紹介文
「幕末史の奇跡」と呼ばれた風雲児・坂本龍馬33年の生涯を幕末から明治にかけての屈指の経済人・岩崎弥太郎の視線から描きます。土佐から江戸、そして世界へ…。龍馬の行くところ、時代が怒とうのように動きはじめる。土佐に生まれた名もなき男が、幕末の動乱で薩長同盟に尽力し、明治維新を大きく進める原動力となった姿を描きます。
岩崎弥太郎の視点
この展開、面白かったですね。生来ずっと龍馬(福山雅治)をライバル視する、成り上がりの貧乏人・岩崎弥太郎(香川照之)の語りで物語が展開します。彼の屈折ぶり、身なりの汚さが群を抜いており、ある意味、龍馬を食っちゃっていました。鳥かごを担ぐ弥太郎の姿が目に焼き付いて離れません。
まずは第1話のインパクト
第1部では土佐の厳しい身分差別が描かれます。士農工商程度の知識しかなかった私にとって、武士が「上士」と「下士」に分かれていたこと、そして、下士が上士から強烈な差別を受けていたことに衝撃を受けました。第1話「上士と下士」では、ささいなことから上士の不評を買い、殺されそうになる龍馬(濱田達臣)を庇った母親(草刈民代)が亡くなります。怒りを押し殺して耐える家族(児玉清、杉本哲太など)の姿が印象的でした。
坂本龍馬の存在感を超えた大森南朋
下士の立場を改善するため、仲間から一目置かれていた武士・武市半平太(大森南朋)は土佐勤皇党を興し、朝廷との関係性を密にしていくうちに、土佐藩主・山内容堂(近藤正臣)の怒りを買い、土佐勤皇党ごと罠にハメられます。最後まで上司の山内容堂を敬い、土佐藩のために尽くそうとした半平太の不器用で一途な生き方に共感した視聴者は多かったのではないでしょうか?切腹のシーンは泣けました。
哀しき最期・人切り以蔵
半平太や龍馬を慕いつつ、半平太の敵をことごとく切り殺してきた岡田以蔵(佐藤健)の最期も哀れでした。土佐藩士の追っ手から逃げ続ける様、牢獄で拷問に耐える様、半平太からの差し入れの毒饅頭に涙する姿、そして、微笑みながら絶命する様など、運命の糸に操られ、引き戻せなくなった下級武士の悲哀がひしひしと伝わってきました。
哀しき最期・平井収二郎
土佐勤皇党のもうひとりの哀しき犠牲者が平井収二郎(宮迫博之)でした。武市半平太の右腕として活躍している最中に、土佐勤皇党を良く思わない土佐藩主・山内容堂の罠にはまり、岡田以蔵と同様、牢獄に入れられ、拷問を受け続け、最後は切腹を命ぜられます。罠にはまったとはいえ、一瞬、仲間を裏切ることになるのですが、この放送の4年後、例のヤミ営業問題で吉本興業の後輩を裏切った(かのような)様は示唆に富みすぎていました。
第28話「武市の夢」が事実上の最終回
その後も面白い展開は続きます。兄・収二郎の策略に翻弄され続けた平井加尾(広末涼子)、龍馬に救われイギリスに逃れる隠れキリシタン・もと(蒼井優)、志半ばで病死する高杉晋作(伊勢谷友介)、実物同様、感情の起伏の激しいおりょうさん(真木よう子)、龍馬を絶体絶命まで追い詰める鬼気迫る近藤勇(原田泰三)など、個性的なキャラクターは多かったのですが、土佐勤皇党編が終了してからは、基本的に史実通りの展開となるため、少しトーンダウンしてしまったように思います。それでも全体的に見れば、福山雅治さんのキャラが十二分に生かされた面白い大河でした。