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#126 家政婦のミタ(2011)-最終回視聴率40%越えに異議あり

TVer 紹介文

彼女にうかつなことを頼んではいけません!この物語の主人公は家政婦「三田灯(みたあかり)」。料理・洗濯・掃除といった家事を完璧にこなすのですが、彼女には感情がありません。“笑わない”“こびない”その立ち振る舞いはまるでロボット。ある事情で心に深い悲しみを抱き、生きている実感を持っていません。何を食べても味がせず、暑さも寒さも感じない。ドラマ史上、最も感情のない人間です。そして、頼まれた仕事は“何でも”やってしまいます。「人を殺して」と言われたら…。派遣先は、母を事故でなくしたばかりの4人の兄弟と父が暮らす5人家族。彼らは母(妻)を失った悲しみを背負いつつ、秘めた問題(悩み)を抱えています。物語では、家政婦・三田の一見常識はずれな行動によって、家族はそれぞれが抱える問題に立ち向かっていくことになるのです。

感情のないロボット家政婦が家族愛を取り戻すドラマ

単純にまとめるとこうなります。当時人気絶頂の松嶋菜々子さんが感情のない家政婦を演じ、派遣先の家族の無茶ぶりを受け入れつつ、最後は人格崩壊寸前まで追い詰められながらも、家族の人間性を取り戻していく展開です。

ミタさんに救われる屈折しまくった家族

脚本家(遊川和彦)のクセ

人間が生来有しているドロドロを炙り出すことが得意な脚本家さんです。『GTO』『女王の教室』といった名作もありますが、基本的に、必ず主人公の人格や家族の関係を崩壊させる傾向が強いため、私はチョー苦手です。ゆえ、このドラマの最終回視聴率の高さには度肝を抜かれ、「日本人はみんな病んでいる」と感じました。では、問題作を一挙紹介します。

純(風間駿介)と愛(夏菜)のダブル主演で、最終回に愛(夏菜)が意識を失ったまま終わります。当時の朝ドラとしては最低視聴率を記録しました。

職場の同僚が抱える悩みを毎回解決するアタル(杉咲花)も、ドラマ終盤には、自分を支配してきた教祖の母親(若村麻由美)の支配に抗えず、人格が崩壊しそうになります。

ドラマ前半はまっすぐな主人公・サクラ(高畑充希)が毎回、悩み苦しむ同僚を救いますが、ドラマの後半では、そんな生き方が理解されないため、サクラは完全に病み、自宅に引きこもり、AIとしか話せなくなります。

10歳の頃に事故に遭った望美(柴咲コウ)が35歳で意識を取り戻し、10歳の頃の純粋さを前面に出して、崩壊寸前の家族と向き合いますが、ドラマの後半、カルト宗教の教祖となり、やめさせようとした母親(鈴木保奈美)と揉み合って、ビルから落下させ、死亡させてしまいます。

前半は団地の人々を救い、後半は壊れかけた主人公が救われます。

前半は派遣先の家族を救い、後半は壊れかけた主人公が救われます。

遊川作品としては斬新でしたが、「そんなやつおるか?」的なぶっ飛んだキャラで占められていました。

賞味期限の長さ

日本を代表する脚本家の中で、きわめて賞味期限の長い方だと思います。それだけ、上記のアクの強さが一定の日本人の心を掴んでいるということであり、ドラマスタッフからの信頼が厚いのでしょう。問題作をつくらせたら超一流、という感じでしょうか?

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