#157 野ブタ。をプロデュース(2005)ー高校時代に連れ戻してくれるシュールなドラマ
TVer 紹介文
爽やかなクラスの人気者なるものを自ら演じ、本音を隠している高校2年生の桐谷修二(亀梨和也)と、修二に親友だと言ってついて回る金持ちの息子で優柔不断な草野彰(山下智久)。そんな2人のクラスに、陰気な転校生・小谷信子(堀北真希)がやって来る。ボサボサ髪でうつむき加減の信子はたちまちクラスの女子からイジメを受けるようになる。黙って見ていられない修二は彰とともに信子を人気者にすべく、変身プロデュース作戦を開始することに…。
懐かしさで胸がいっぱいになる構成
紹介文は間違っていない。根暗の転校生・信子(堀北真希)を修二(亀梨和也)と彰(山下智久)がクラスの人気者に仕立てていく過程が丁寧に描かれる。陰湿ないじめのシーンもあるが、高校生の日常と揺れ動く思春期の心情の描き方がシュールで、「あの頃」の懐かしさが込み上げる。とりわけ、信子よりも暗い影を引きずった修二の存在感が際立っていた。
忘れちゃいけない、戸田恵梨香
3人が注目されがちだが、スパイス的な役割を果たしたのが、芯の強い女子高生・上原まり子を演じた戸田恵梨香。あまり動きのない展開だからこそ、彼女のキラキラ感は異質であり、信子に対する陰湿ないじめに気付き、友達として寄り添う姿は素敵だった。いかに情緒不安定とはいえ、彼女をふる修二には驚かされた。実にもったいない…。
最終回は昭和の学園ドラマ
高校生の内面の葛藤に焦点が当てられる中、最終回では、父親の転勤のために転校を余儀なくされ、引っ越しトラックで去る修二をクラスメイトが川べりで待ち受け、最後の楽しいひとときを過ごす。この時だけは、修二にまとわりついた影が失せ、ふつうの高校生に戻る。修二との別れを惜しみ、彼抜きの高校生活を不安視する信子。どこまでのシュール。
幸福感で満たされるラスト10分
新たな環境に適応できるかどうか、不安を抱えた修二を転校先のクラスで待ち受けていたのは、一足先にこっそり転校した彰だった。あまりにもファンキーな展開だが、ふたりの関係性が続くことに安堵した視聴者は多かったはず。そして、ふたりの転校後、クラスの人気者として活躍する信子。奇しくも、ふたりとの別れがプロデュースの成功(自立)に繋がることに。このあたりも実にシュールな展開だった。
名作の裏に名曲あり
静かで穏やかでほの暗さを感じさせるドラマの締めくくりは、修二と彰による「青春アミーゴ」。一見、ドラマの空気とは異なるテンポの良い楽曲が実によく似合い、次回への余韻が深化する。最終回後の切なさは極限状態。あの4人が揃う高校に転校したい、と強く思わせる優れた楽曲だった。ジャニーズを代表する、華やかなふたりのライブを楽しめる日を待ち望む日々。
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