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高千穂神社 @21

名瀬のもうひとつの聖地。そして、泉芳朗が復帰祈願の断食をした場所だ。名瀬の聖地だけではなく奄美大島の聖地なのかもしれない。鬱蒼とした杜。あの日、芳朗と島っちゅたちはどんな思いで此処に座っていたのだろう。

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断食悲願:泉芳朗
 
ここは北緯二十九度直下
奇妙不可解な人為の緯線が
のろわれた民族の死線に
変わろうとしている
 
目にみえない首枷をつくろうとしている
たえがたい責苦の檻になろうとしている
 
されどこの土 歴々やまとあまみこの国
町の奥がに 厳々 高千穂の杜はそびえ
太祖伝承の神域に
今わたしは端坐している
 
仰げば脈々たる樹枝
天冲に合掌して
二十余万の民の大悲を訴えるに似ている
 
わたしはただの一介痩身の無名詩人
樹間に湧く無量の感に涙しぼり
地に満つる落葉や雑草にも
無情の声を呑み
 
天かける白雲に
うたた民族流離の歌をきく
 
よしや骨肉ここに枯れ果つるとも
八月の太陽は
燦々として 今 天上にある
 
されば 膝を曲げ 頭を垂れて
奮然 五体の祈りをこめよう
祖国帰心
五臓六腑の矢を放とう


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