小学生の息子にコーチングをした結果〜仕事が楽しくなるコーチング術
大谷翔平選手が花巻東高校時代に受けていたコーチング。そのエッセンスを小学3年生の息子に活用してみた。テーマは「水泳大会」。数百人規模のスイミングスクールの大会で、息子にコーチングスキルを試すことにした。
まず質問。「水泳大会でどうなりたい?」と聞くと、息子は「メダルをとりたい」と答えた。この「ありたい姿」を具体的にイメージさせることが、コーチングの第一歩だ。
次に、具体的な行動プランを立てるための対話を進めた。大会では2種目にエントリー可能だ。
私:「得意な種目は?」
息子:「背泳ぎ」
私:「好きな種目は?」
息子:「クロールとバタフライは嫌い」
私:「首にメダルをかけている姿が見えるのはどの種目?」
息子:「背泳ぎ。得意だから」
こうして息子自身が考え、選択した結果、25m背泳ぎと50m背泳ぎにエントリーすることになった。
次に、目標達成のための具体策を話し合った。
私:「どうしたらメダルが取れる?」
息子:「練習する」
私:「他には?」
息子は必死に考えて、「笛が鳴ったらすぐスタートする」「足のバタバタを増やす」など、具体的なアクションを次々と挙げた。私はさらに「他には?」と問い続け、息子が自分の頭で考え、自分の言葉で口に出し、それを自分で聞くプロセスを繰り返した。これにより、息子は行動イメージをより明確にすることができた(オートクライン効果)。
もし私が「こうしなさい、ああしなさい」と指示しただけなら、息子は本気で取り組まなかっただろう。コーチングでは、本人が自分で考え、イメージすることが成功の鍵となるのだ。
そして迎えた本番。結果は2種目とも2位で銀メダルを獲得。25m背泳ぎはわずか0.03秒差で金メダルを逃したが、「メダル獲得」という目標を見事に達成した。水泳大会で賞をもらったのは彼にとって初めての経験だ。
この結果を通して、息子は自己肯定感を得るとともに、「自分はやればできる」という自己効力感(エフェカシー)を体感した。これは、子どもの成長において非常に重要な要素だ。
この経験は、ビジネスの現場にも応用できる。たとえば、部下に対して「これをやれ」と指示するのではなく、「どうなりたい?」とゴールを引き出し、「どうすればそれが達成できるか?」と具体策を考えさせる。これにより、相手の自主性を引き出し、行動の質を高めることができる。
「可能性はすべての人にある」。その可能性を引き出すのが、コーチングの力だと改めて感じた出来事だった。