プロ野球のデータ分析を語る-打撃指標編
1. はじめに
皆さん、こんにちは。気づけば年も明け、各チーム続々と対外試合が組まれる季節になりました。諸事情が重なり更新がストップしてしまいましたが、4本目のnote記事となります。今回は、前回に引き続き野球を見るうえで私が重要だと考えている指標について語っていきたいと思います。今回は打撃指標編ということで、野手の打撃成績の中から私がとくに重要視しているデータを3つ紹介していきます。前回の内容と重複する内容も含まれていますので、前回の記事をご覧になっていない方はそちらも併せてご覧いただければと思います。繰り返しにはなりますが、私が普段参照しているデータベースのリンクは以下から、合わせてご確認いただければと思います。それでは早速本題に参りましょう。
2. 重要視する項目-打撃指標編
早速私が普段重要視している打撃指標を3つご紹介します。
BB/K
IsoD/IsoP
得点圏期待値
順番にひとつずつ見ていきましょう。
・BB/K
前回投手編で紹介したK/BBとよく似た指標です。K/BBと同様にKは三振、BBは四球を指します。つまりこの指標は「1回三振をするまでに何個の四球を選べているか」という指標になります。計算式は以下の通り。
BB/K=(四球数)÷(三振数)
私がこの指標を重視する理由は、選手の選球眼を測るのに適した指標だと考えているからです。前回の記事でも触れましたが、四球と三振は守備のシフトや能力には関係なく、投手/打者の純粋な能力と密接に関係しています。四球は「もぎとった」と表現されることもあるように打者の選球眼に大きく依存していること、三振は空振り、見逃しに関わらず打者のストライク/ボールの認識と実際の投球との間の乖離によって生じることから、この指標は打者の選球眼に着目する際に重要だといえます。
・IsoD/IsoP
2つ目はIsoD/IsoPです。よく似た指標なのでここでは2つまとめてご紹介します。そもそもIsoD/IsoPとは何の略なのかですが、それぞれIsolated discipline(孤立した規律)、Isolated power(孤立した力)という英語の略称です。参照したサイトはこちら。
それぞれの計算式は以下の通りです。
IsoD=(出塁率)-(打率)
IsoP=(長打率)-(打率)
出塁率、長打率にはまたそれぞれ別の計算式がありますが、今回はその説明は省略します。詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。ここでは出塁率=どれだけ出塁できるか、長打率=どれだけ長打が打てるかの指標だと思っていただければOKです。これらの指標からそれぞれ打率を引くことで、先ほどの訳にもあった”孤立した”出塁する能力や長打を放つ能力を測ることが出来ます。例えばIsoDについて考えてみましょう。出塁率の計算には四死球数や安打数を用いますが、ここから安打数のみを計算に用いる打率を除外することで、四死球による出塁についてデータを算出出来ます。IsoDについても同様で、二塁打や本塁打などの長打を計算に入れる長打率から、それらをひとまとめにする打率を引くことで各長打の割合を反映したデータを算出出来ます。このように打者の”純粋な”出塁能力や長打力を測る指標としてIsoD/IsoPは有効であると言えます。
・得点圏期待値
最後は”得点圏期待値”です。これは一般には出回っていない、私が独自に作成した指標になります。早速計算式を見ていきましょう。
得点圏期待値=(得点圏打点)÷(得点圏打席数)
この指標では得点圏の打席においてどれだけ得点に”直接”貢献できたかを測ることをコンセプトとしています。得点圏打率では測ることの出来ない犠牲フライ、内野ゴロ間の得点も計算に入れることで”最低限の仕事”を反映したデータになっていると考えています。ちなみに2024年の阪神のチーム全体の得点圏期待値は0.35でした。また、突出してこの数値が高い選手を挙げると森下翔太(0.46)、佐藤輝明(0.46)などが挙げられます。この2人は得点圏打率も高く、得点圏では心強い打者であると言えそうです。
3. まとめ
いかがだったでしょうか。こうしたデータを頭に入れて観戦することで、考察を交えて多角的な視点から野球を観ることができます。少しでも興味をもっていただけたら幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。