見出し画像

No.2 【ネタバレあり】鄴(ぎょう)攻めから学ぶ兵站(ロジスティクス)

※写真は46巻よりお借りしました。

趙侵略の要として鄴を落とすべく進軍する秦軍だったが、最大の課題が兵站であった。
(コミックス46巻第496話参照)

兵站(へいたん)とは?

兵站という言葉は軍事用語であり、人が戦を始めてから近代国家の戦争に至るまで確立されてきた分野である。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/兵站

食料や武器、馬など、戦いを続けるために必要な資源やその補給ルートに関することを扱う。
 
物語では、昌平君は鄴を攻めるにあたり兵站の拠点を金安におき、軍を進めた。この鄴攻めはまさに兵站を学ぶに相応しい長編である。(ヤングジャンプ最新刊[4/30発売]で完結している。)

兵站は、戦いを続けるための物資について、その分配や消費速度の調整、供給ルートの確保、物資の管理などに分かれており、それぞれがいかに重要であるかは物語の中にエッセンスが散りばめられている。

また、李牧がいうように兵站の流れは戦いの意図が反映される。つまり、この兵站は戦いを知るものが指揮をしないといけないのである。

新型コロナとの戦いも秦対趙の戦いのように兵站が勝敗を決するといっても過言ではない。

新型コロナ大戦における兵站とは?

ウイルスと戦うための物資としては、防具でいえばマスクや手袋、ガウン、アルコール消毒剤が挙げられる。また、武器としては薬剤であったり、人工呼吸器やベッドなどがないと戦えない。もちろん、スタッフが休める場所も必要である。濃厚接触者として傷を負った兵士を休ませる場所としてホテルを確保することは重要な兵站のひとつである。

新型コロナ大戦は各医療機関が兵糧攻めにあっている。兵站が破綻すると、最前線で戦う兵士がいかに有能でもゴミ袋で身を守ったり、マスクを使い回すことで防御力や指揮が下がってしまっている。これが東京と大阪という2つの都市で起きており、さらに第二波として地方の非流行地域の物流が止まることで、現場の防具がなくなりつつある。

都道府県庁や保健所の中に、兵站を専門とする人材や部局を設置して機能を強化することが必要とされている。災害医療や危機管理の分野でLogisticsとして体系化されているが、難しいのは単なる物資の発注や配給作業ではないため、役割分担をして『あなたよろしくね』というわけにはいかない点である。

鄴攻めのストーリーには徹底した兵站の計算と節約、複数の供給ルートの確保というまさにいま日本が必要とする戦いの基本が詰まっている。その兵站の壮大な計画を練ったり、見破ったのは、昌平君であり、李牧であった。また、現場の戦局に合わせてその兵站を管理、調整、変更したのは王翦(おうせん)である。

つまり、兵站を制すものは戦を制するわけで、新型コロナ大戦の兵站を都道府県レベルで調整できるのは、将軍や軍師の経験をもつ有能な人材でないといけないのである。

そうした人材は、稀有な存在だが各地に必ずいる。地域で兵站の拠点を設け、一刻も早くその指揮をとる人材を選んでほしい。

本文を読んで気づかれたりしたことや、別の解釈をされた方は遠慮なくコメントを頂戴したい。現場の誰かを批判したりするつもりは全くなく、あくまでキングダムに感謝するイチ医者が書き留めた記録としてご覧になられたい。

Dr.RISHIN

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?