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No.8 キングダムから学ぶCSCA Part1
さて、シリーズで4回お送りするが、今日はCSCAの始め、【C:Command&Control】を解説する。
まずはCommand
災害医療、つまり災害時に医療活動をする場合、何より先に指揮命令系統を確立することと、統制のとれた組織を構築することが重要になる。
指揮命令系統と統制とは、『リーダーを決めて役割分担をする』ということだ。これをやらないとそれ以後の活動は混乱をして、助かる命が助からなくなる。
いわゆる体制構築と言える。これをCommandと表現する。
キングダムの戦に例える
キングダムの戦に例えてみよう。秦国が敵国と戦う際に、このcommand&controlがよく整備されているのがわかる。災害医療は『人を救う』だが、これを敵を倒すと言い換えれば戦にも当てはまることが沢山ある。
まずリーダーは?
国のリーダーは嬴政(えいせい)であり、物語が進むにつれ、みながそれを理解しており、まとまりがある。
軍のリーダーも総大将は誰が分かるようになっているし、各持ち場は誰の軍が担当するかも分かりやすい。
次に役割分担もしっかりしている。昌平君や昌文君らは王の周りで軍師として戦略を練るし、武将たちは軍を率いて敵を倒しに行く。国民は戦の際には城の中に隠れている。
軍の中でも誰がどの群に所属して、作戦のどこを担当するかも分かり易い。
統制に関しては言うまでもない。山の民は楊端和の指揮のもとで一丸となるように、リーダーの名の下にいかに強く統制をとっているかがよく分かる。(挿絵は47巻より引用)
コロナ対策に話を戻すと
コロナ対策に話は戻るが、医療の提供が平時と変わるのだ。例えば、心臓血管外科の医師が肺炎の疑いのある患者をみたりする。このような命令を出せるのは院長(病院のリーダー)のみである。また、地域のとある病院がコロナ専門病院になったりする。このような命令を出せるのは県知事(県のリーダー)のみである。リーダーが定まらないまま活動することはできない。
もちろん、リーダーの命令が的確に現場に反映されないといけない。これをcontrolと表現する。
ここが難しいポイントであり、平時にリーダーを大事にしていない(あまり言うことを聞かずに部下が文句を言う)組織は、コロナ対応に弱くなる。自治体も会社も家庭も同じである。
災害医療の最初は体制作りから始める。自分の組織からまずはやってみよう。その次は地域単位での体制を作らないといけない。
他の組織と協力する際に重要になる知識としては、自分の立場/階級が相手の組織の中ではどの役職や人物にあたるのかを理解する必要がある。それがないと指揮命令系統が作りにくくなってしまう。
マニュアルがまだない状態なので手探り感は否めないが、まずは体制作りから。戦はもうすでに始まっている、もしくは、いつ始まってもおかしくない状態なのだから。
明日はPart2 S:Safetyへ移行する。
Dr.RISHIN