No.12 戦いの士気と檄(げき)
挿絵は53巻より引用。
今日は檄(げき)について話したい。
リーダーが生み出す檄はチームが困難に立ち向かう際にメンバーに勇気を与え、全体の士気を向上する。
いくらマニュアルを周知徹底しても、資機材が潤沢にあっても、訓練をしても、いざ危険な現場に飛び込み戦う際に必要なのは、勇気とチームワークである。
キングダムでは、武将が戦う前に自軍の前に出て士気をあげるために檄を飛ばす。その檄により軍の士気があがり、兵士たちが『ウォォォォー!!!!』となる。
僕もキングダムを読むまでは『檄を飛ばす』という言葉としてしか意識していなかった。
今では意図的にこの檄を仕事でも使っている。全てのリーダーが身につけて良い技術に思うし、スポーツの世界でも試合前に円陣を組んで士気をあげる掛け声の風習がある。
新型コロナウイルス感染症は医療機関にとって恐怖の存在であった。自分が感染するかもしれないし、職場や家でアウトブレイクさせてしまうかもしれない。
職員がみんな不安を感じる中で各組織では恐らく院長や部長が部下に声をかけることになるだろう。というか、しっかり檄を飛ばして士気をあげてほしい。
首相や県知事、自治体の長、社長、一家の主が大事な仲間の心に響く檄を飛ばせるようになった時、戦う兵士は普段の力の何倍も出して戦えるのだ。
檄を飛ばして士気を向上するとは
檄を飛ばして士気を向上するとは一体どういうことなのか、それを知るために、キングダム53巻第579話【十二日目の朝】を読んでみてほしい。鳥肌が立つくらい響く檄を信と王賁(おうほん)が飛ばす。漫画を読んで鳥肌が立ったのは初めての経験であった。
このリーダーの元で戦いたいと思ってもらうにはどのような声のかけ方があるか。もちろんリーダーに対する信頼も必要だろう、メンバーに対する心からの敬意も必要だろう。
それ以上に必要なことは、何のために戦うか、どれくらい勝ちたいと思っているかの熱量が伝わるかどうかである。
僕が檄を飛ばすケース
僕が檄を飛ばすケースは2つある。
まずは心肺停止状態の患者が運ばれてきた時に檄を飛ばす。何とかして助けよう、社会復帰してもらおうと。
次はお年寄りに安らかな最後を迎えてほしい時だ。みんなで敬意を持って優しく接しようとチームを鼓舞する。
我々は医療者だから、人を殺す士気でなく助ける士気をあげるのだ。コロナウイルス対策で頑張る時、皆さんが役場の職員や主婦であったとしても、一人一人の努力は人を救う力になる。
士気をあげる方法を考えることは人類の新たなチャレンジなのかもしれない。
Dr.RISHIN