山形県の地震
こんにちは。山形県は先の大雨で大変な目に遭われたばかりで地震のことまで言うのはどうかと思いますが、これまでに山形県を震源とする地震は少ないのです。南海トラフ地震も関係ない。ですから、地震に対する備えをされてないかもしれない
最近、衛星からの情報などで地震予測をする地震科学探査機構(JESEA)株式会社が秋田・山形に地震がくる可能性を訴えています
これまでの地震
2019年06月18日 22時22分頃にいきなり山形県沖の深さ10kmにM6.7 の地震が発生しました。さらに昔の 2008 年4月17日 に最上地方 でM5.8(最大震度4)の地震が発生しています
これら2つの地震は、地下に沈み込む太平洋プレートによって発生しました。下のモデル図はいろいろ正確ではありませんが、太平洋プレートが宮城県の側から山形県の地下に沈み込み、山形県最上地方あるいは日本海に抜けたところで震源 (深さ166km) となったことを示しています
言い換えると、山形県は陸の オホーツクプレート 北米プレートにのっていますが、そのさらに下に沈み込んだ太平洋プレートが存在します
以前にもお見せした地球に海洋プレートができて、大陸プレートの下に沈み込むまでの動画です↓
現在の状況
山形県と秋田県が目立って沈降している
今回、地震科学探査機構(JESEA)株式会社は電子基準点のGPSデータを使って観測した「地表の動き」で、山形・秋田地域が沈降していることによりこの地域に地震がくるかもしれないと警報を発しています
下図で濃いブルーの地域の観測点の沈降度が大きい
山形県と秋田県が沈降しているとは、どういう意味ですか?
JESEA が日本列島を測位衛星の三次元データで調査している中で、いくつかの塊(クラスタ)に分かれた動きが観察されました (下図)
山形県と秋田県は7番の出羽ミニプレートです。この出羽ミニプレートが沈降しています (直上の図を参照)
なぜ山形県と秋田県が沈降しているのですか?
2011年の東北大地震は、太平洋プレートが陸のプレートの下に沈み込むことが大元の原因と考えられます。下のGIFで2番め、太平洋プレートが沈み込む力により陸側のプレートが引きずられて下がる現象です
山形県と秋田県の地下でも同様の下方に引きずる力が働いていると考えます
実際に、東日本大地震の時に衛星から観察した土地の動きはもっと複雑でした
東日本大地震で、宮城県・岩手県ののっている北上ミニプレート (上図8および下図)は東南東に大きく滑り、また上下動では50cm以上沈降しました
東日本大地震の3日前に、上記8か所は全て3cm以上の沈降を示しました。これは大地震前のプレスリップと考えられました
次の事実は初めて目にする人が多いかもしれません
大地震の前の3月1日~3月10日に東北地方全体、特に「北上ミニプレート」が大きく東南東に滑りました (下図)
この現象を観察したJESEAは、この滑りが大地震を引き起こした考えています。なぜこの滑りが起きたのか原因は明らかにされていません
東日本大地震による変動の結果
地震が発生して水平方向では、宮城県の牡鹿が東南東方向に最大5.3センチの変位、海域では最大、東南東方向に24メートルの変位が観測されました
垂直方向では、陸域が最大1.1メートル沈降したのに対して、海域では最大3メートル隆起しました
山形県・秋田県の沈みこみレベルは?
2024年7月の1週間変動
山形の電子基準点で11.42cm の沈み込みが観察されています
JESEA によると、これは変動として大きく地震の前兆となる可能性があるとのことです
直近2週間前の2週間変動
国土地理院では最大約2週間遅れて、2週間の地殻移動の平均値を1年前と比較して公開しています
下図の見方:それぞれの観測局の数値の変化を矢印のベクトルにしています
山形県・秋田県は少し下がっています
これは、直近1週間の地殻移動のデータが公開されるようになると実用的になります
水平方向は引き続き東南東への地殻移動が続いています
これから山形県に地震が発生するまでの期間がわかりますか?
東日本大地震の時の土地の沈み込みは何回も繰り返しました。JESEA は半年前から有意な沈み込みイベントがあったとしています
下のグラフを見ると、土地の沈み込みが起きたからすぐに地震が起こるとは限らないようです
その土地ごとに地層の歴史が異なるなど条件が違うため、宮城県の大地震と同じことが起こるとは限りません。ただ、南海トラフや相模トラフと無関係な地域なので、JESEAが地震に対して備える根拠をくれたととらえることができます
太陽フレアXとの関連から、直近の地磁気データプロット
現在、今年最大の磁気嵐が発生中です
山形県を震源とする地震
山形県に被害を及ぼす地震は、主に日本海東縁部で発生する地震と、陸域の浅い場所で発生する地震です 政府地震本部の山形県へ
山形県で提供している断層帯マップが最も詳細です
山形県のこちら防災やまがたに地震について詳しく説明されています。一部を抜粋します
耐震診断・耐震改修のすすめ
木造住宅の耐震診断・耐震改修の助成制度について
これまでに実施した被害想定調査結果について
命を守る住宅改修支援について
総産研による活断層データベースで見ると山形県は下図になります。リンクをクリックして、赤いラインをクリックすると各活断層の詳細が表示されます
❶ 山形県庄内地方
東日本大地震以降に起こった 山形県庄内地方を震源とする地震は全部で6回です
住所は気象庁の速報値をもとにしているため100%正確ではありません
山形県庄内地方の地震に相当する活断層は庄内平野東縁活動セグメントです
庄内平野東縁活動セグメント
所属起震断層名 : 庄内平野東縁起震断層
山形県北西部,庄内平野の東縁をほぼ南北方向に延びる東側隆起の逆断層
地盤の影響について
揺れの大きさは、地震の規模、断層 からの距離によっても変わりますが、 地盤の軟らかさやその厚さなどによ って大きく変わります。下の図は約 250m 四方毎の、揺れに対する地盤の 影響度で、暖色ほど揺れやすくなる ことを示しています
庄内平野東縁断層帯の長期評価について 平成17年4月13日
庄内平野東縁断層帯の長期評価の一部改訂について 平成21年10月19日
庄内平野東縁断層帯南部の地震による予測震度分布 平成21年10月19日
❷山形県最上地方
山形県最上地方を震源とする地震は全部で3回だけです。この3回の震源は新庄盆地起震断層に属します
住所は気象庁の速報値をもとにしているため100%正確ではありません
新庄盆地活動セグメント
所属起震断層名 : 新庄盆地起震断層
山形県北東部,新庄盆地の東縁をほぼ南北方向に延びる長さ東側隆起の逆断層
新庄盆地断層帯は、その分布形態から新庄盆地断層帯東部と新庄盆地断層帯西部に区 分される。 新庄盆地断層帯東部は、山形県新庄市から最上郡舟形町(ふながたまち)に至る断層 帯である。長さは約 22km で、概ね北北東-南南西方向に延びており、東側が西側に対 して相対的に隆起する逆断層である。 新庄盆地断層帯西部は、最上郡鮭川村(さけがわむら)から大蔵村(おおくらむら) に至る断層帯である。長さは約 17km で、ほぼ南北方向に延びており、西側が東側に対 して相対的に隆起する逆断層である
新庄盆地断層帯の評価 平成14年7月10日
新庄盆地断層帯の長期評価の一部改訂について 平成23年5月19日
新庄盆地断層帯での地震を想定した予測震度分布
富並活動セグメント
所属起震断層名 : 山形盆地西縁起震断層
山形盆地断層帯は、山形県北村山郡大石田町(おおいしだまち)から村山市、西村 山郡河北町(かほくちょう)、寒河江市(さがえし)、東村山郡中山町、同郡山辺町(や まのべまち)、山形市を経て、上山市(かみのやまし)に至る断層帯である。全体の長さは約 60 km で、概ね南北方向に延びる。山形盆地断層帯は断層の西側が東側に対して相対的に隆起する逆断層である。本断層帯は複数の断層から構成されており、断層帯の北端付近ではこれらは並走して分布することがある。山形盆地断層帯は、過去の活動時期の違いから、北村山郡大石田町から寒河江市に至る山形盆地断層帯北部と、寒河江市から上山市に至る山形 盆地断層帯南部に区分される
山形盆地断層帯北部の平均的な上下方向のずれの速度は、1m/千年程度の可能性 がある。最新活動時期は、約3千9百年前以後、約1千6百年前以前であったと推定 される。また、平均活動間隔は、約2千5百-4千年と推定される。 山形盆地断層帯南部の平均的な上下方向のずれの速度は、1m/千年程度の可能性 がある。また、野外調査から直接得られたデータではないが、経験則から求めた1回 のずれの量と平均的なずれの速度に基づくと、平均活動間隔は2千5百年程度の可能性がある
山形盆地断層帯の長期評価の一部改訂について 平成19年8月23日
山形盆地断層帯の評価 平成14年5月8日
どのくらいの規模の地震が起こりうるのか?
政府地震本部の情報です。リンクからご覧ください