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おひるね、着信の音

昼下がり 着信の音に飛び起きて
隣にきみの 寝息ぞ聞こゆる

私は、携帯電話の着信音が嫌いだ。

いや、携帯電話に限らず、家の電話も病院のPHSも着信音が嫌いだ。
つらつら文を書くのは好きなのに、喋る方の才能が無さすぎるのと、不意打ちの電話が苦手すぎるからだ。
『え?もいもいさんコミュ障じゃないでしょーまたまたー』
と実際会う人に言われることが多いが、それは外面を作る系コミュ障だからだ。とにかく疲れるのだ。

そして、その嫌悪は、末の息子・おもちくんが生まれてから、益々高まった。

病院からの着信。
大抵いいことがなかった。

最近は業務的にあまりないが自分も病院から嫌な電話をする立場なので、むしろ連絡いただけるのはありがたいのだが、おもちに関する電話はとにかく心臓に悪い話が多く、パブロフの犬の如く、着信音が鳴るだけで胸が悪くなるようになってしまった。

そして、月日は流れ、
おもちくんと並んでお昼寝していた午後。

携帯電話の着信音に飛び起きた。

『また?!おもちくんになにか?!』

その着信は隣の部屋にいた真ん中の子からで(真ん中の子は隣の部屋から姉のキッズケータイで母へ鬼電をするのが趣味)、飛び起きた私のとなりでは、シューシューと呼吸器を鳴らしながら、紅顔のおもちくんがすやすやと眠っている。

『あ、そうだった、おもちくんは家に帰ってきたのだった。』

おもちくんに何かあれば電話するのは、わたしの方だ。
今は、着信音に必要以上に驚いて飛び起きる必要はないのだ。

『もしもし、真ん中ちゃん?ママ』

ほっと胸をなで下ろし、まだ少し心拍数が高いまま、少し呼吸をととのえて、通話ボタンをタップした。

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