【調べてみた】 少量でも悪影響とのデータ。加工肉・発色剤・発がん物質③
2620文字 3〜4分で読めそうです。
前回のおさらい
体内で起こっていることは
ですが、硝酸、亜硝酸に関して面白いことが分かりましたね。
多くの人が抱いた疑問
・硝酸塩を多く含む野菜を食べると良くないんじゃないか
・野菜の硝酸塩から変換されてできた亜硝酸塩と加工肉に使われている
亜硝酸塩は同じものなのか
硝酸塩、亜硝酸塩どちらにも注目した研究論文
▶️水や食事からの硝酸塩・亜硝酸塩の摂取量と非ホジキンリンパ腫の発症率との関係をメタ分析で評価した論文です。
非ホジキンリンパ腫(NHL)は比較的稀な疾患のためあまり聞いたことがない方もいるかもしれませんが、血液中のリンパ球ががん化した疾患です。
さらっと読むと違いにすら気づかなそうですが、硝酸塩と亜硝酸塩の英語のスペリングは1文字しか変わらないんです。
Nitrite → 亜硝酸塩 (加工肉などに使われる発色剤の方です)
Nitrate → 硝酸塩 (ビーツなど野菜に多く含まれる方です)
結果
結果(もう少し分かりやすい日本語ver)
1μg/日の亜硝酸塩の摂取とは
日本の食品衛生法
食品衛生法で添加物として定められている亜硝酸ナトリウムの使用基準を
見てみましょう。
使用基準量、もっとわかりやすくすると?
亜硝酸ナトリウムの使用量に関して独自の基準を設けている会社もありますが、あまりにも低い濃度の亜硝酸ナトリウムだと防腐剤としての役割が果たせなくなるので、各会社が食品衛生法に定められている加工肉製品に使える上限量を使っているとして計算をしてみました。
もし私たちが買うベーコンやハムに亜硝酸ナトリウムが使用基準maxまで使われているとすると、加工肉製品1gあたり70μgの亜硝酸塩が残存しているということです。
ハムやベーコン1枚は約10gほどらしいので、
半信半疑 ハム、ベーコン1枚あたり亜硝酸塩700μg…?
上記の論文でNHLのリスク上昇が示された用量反応分析に使われた
亜硝酸塩が1μg/日だったので、たかがベーコン1枚に700μgもの亜硝酸塩が残っていても良いという計算に半信半疑になり、何度も見直しをしたのですが、、、。
アリの1口くらい?
上記のメタ分析から亜硝酸塩の摂取量の増加は用量依存的にNHLのリスクを上昇させるようであることが示唆されていますし、NHLリスクが26%上昇することが示された1μg/日の亜硝酸塩の摂取はベーコンの量に換算すると、アリの1口くらいなのではないでしょうか。
考察
1μg/日の亜硝酸塩でNHLリスク26%上昇なら2μg/日だとリスクも2倍の52%になるのというように思われる方もいると思いますが、そういうわけではありません。ですが、この記事で紹介した論文ではアリの1口くらい少量の亜硝酸塩の摂取でNHLリスクの上昇が示されたということは個人的に見過ごせないデータだと感じています。
独特の風味があって美味しい加工肉製品ですが、やっぱり控えようかなという思うデータでした。むしろ、もうちょっと真面目に控えた方が/避けた方が良いんではないかと思いました。
次回は
亜硝酸塩および硝酸塩の摂取量と胃がんリスクとの関連性について調べた
システマティックレビューとメタアナリシスを紹介し、「加工肉、本当に避けた方がいいのか」を終わりたいと思います。
ご興味のある方ぜひ次の記事もお付き合いくださいませ。
皆様が健康に一歩でも近づけますように。
Moet
参考文献
Yu M, Li C, Hu C, Jin J, Qian S, Jin J. The relationship between consumption of nitrite or nitrate and risk of non-Hodgkin lymphoma. Sci Rep. 2020;10(1):551. Published 2020 Jan 17. doi:10.1038/s41598-020-57453-5