「月桃」JIPANG Ginger "月桃が持つ多彩な医学的効能とその可能性について"
月桃とは?
月桃といっても、すぐにこれが何であるかがお分かりになる方は、沖縄の方、あるいはすでにサプリメントクリニックの患者さんの方以外には、非常に少く、ほとんどの方はご存知ないと思います。
月桃は琉球諸島に自生するショウガ科の植物です。英語ではShell Ginger、貝のショウガとも言われます。つまり、この呼び名が示すように、ショウガの一種なのです。美しい花は、月光に照らしだされる白い桃のようだということから、月桃と名付けられました(諸説あります)。学名はAlpinia zermubetで、これは16世紀のベニスの医者であり、植物学者であった、Prospero Alpiniに由来します。
琉球方言ではサンニンとも呼ばれ、葉に独特の芳香があるため、昔から食物を包むのに用いられ(ムーチー=月桃の葉で包んで蒸した餅のこと)、煎じてお茶としても飲まれてきました。また葉鞘は編み物細工、綱の原料として使われてきました。しかし、月桃がもつ、多彩な医学的効能はほとんど知られることなく、せいぜい、月桃茶に健康増進作用があるということで、地元の人たちに飲まれるくらいです。
ポリフェノール
ところが、この月桃には活性酸素を除去するためのポリフェノールが実に多く含まれており、僕が過去15年研究してきた植物の中でも、最高の抗酸化力を発揮する部類の植物であることがわかってきました。
植物は光合成により、水と二酸化炭素からブドウ糖と酸素をつくります。その際、大量の活性酸素も発生します。その活性酸素から身を守るために、ポリフェノールは活性酸素除去物質として活躍するのです。強い光を浴びれば浴びるほど、活性酸素と戦う手段が必要です。
沖縄の太陽の勢いは違います。強く、たくましく、大空を沸騰させ、容赦なく熱と光を万物に注ぎ込みます。豊潤な森や林を繁茂させ、ありとあらゆる生物をおおらかに育み、強烈な原色で大地を彩ります。こういう自然環境では、植物は大量のポリフェノールが自衛のために必要なのです。
さらに沖縄の土壌は珊瑚が風化して出来た石灰岩がベースになっているために弱アルカリ性で、一般的に沖縄産の植物は非常に健康に良いのです。単に日差しが強烈であるというだけでは、健康に役立つ植物は育たないのです。
「ポリ」とはたくさんという意味で、ポリフェノールとはフェノールが多く集まってできた化学物質というのが定義です。5000種類以上のポリフェノールが報告されています。光合成によってできる植物の色素や苦味の成分であり、植物を守る重要な役目を果たしています。植物細胞の生成、活性化、分裂に寄与します。
この抗酸化作用に目をつけて2009年6月より、私のサプリメントクリニックでは月桃から加工したサプリメントを患者さんに処方しています。月桃の葉を特殊な液に一昼夜漬け、それを乾燥させてこの月桃のサプリメントを作っています。アトピー性皮膚炎を筆頭にし、様々な疾患を抱えた延べ1500人以上の患者さんに摂ってもらったところ、非常に良い結果を得ているのです。
月桃は癌に効く!?
月桃は癌にさえ効くと書けば、なんとなくうさんくさく聞こえるのですが、これは医師免許にかけて明言します。ほんとに効くんですから。前立腺癌で手術予定の患者さんが3人、たった3週間飲んだだけで、手術しなくて済むようになりました。しかも、副作用なんてこれっぽっちもない。
様々な皮膚病にも、月桃をサプリメントとして足すと、ずっと治りが速い。お通じもよくなる。風邪もひかなくなる。しつこいヘルペスも治る。中年の男性なら精力も回復するし、女性なら更年期障害にも効く。
これは是非、世界に広めなければいけない、稀に優秀なサプリメントです。しかし私は、はみだしドクターです。どこそこ大学の教授どころか、講師でもないし、製薬会社の研究者でもない。つまり、何の権威も知名度もないのです。そんな人間が、月桃のサプリメントは癌やアトピーに効くと叫んでも誰も耳をかしません。世間はいつも権威や有名人に弱いものです。それに、もっと学問的な裏付けが必要です。
「月桃の権威」
そこで、まず「月桃の権威」と組むことを考えたのです。しかし、月桃の権威とはだれか? どこにいるのか? そもそも、月桃というマイナーな植物を研究している人はいるのか?さっそくネットで検索しました。
不思議なことに私が検索した当時に、これはという感じで最初にヒットしたのが、エジプト人の学者が書いている論文です。しかも、佐賀大学の図書館にその論文がある。全文が読みたかったので佐賀大学の図書館に電話したところ、あることはあるが、全文を読むにはその図書館内に限られ、貸し出しはできないということでした。
たまたま、私の本籍と牧瀬家代々の墓は佐賀県にあるので、2、3年に一度は墓参りに行くのですが、もちろんそれまで待っていられません。
アブデルナサー・アブデルガニ・エルザーウェリ
しかし、著者名であるアブデルナサー・アブデルガニ・エルザーウェリ(Abdelnaser Abdelghany Elzaawely)で検索すると、その当時は彼のメールアドレスまで掲載されていたので、「私は日本の医者で、かくかくしかじかで月桃のことをもっと詳しく知りたい」という旨のメールを送ると、有難いことに翌日には丁寧な返信が返ってきました。
「私は、琉球大学の農学部に留学して、「Professor Tawata」の指導のもとで、この論文を書いた。現在はエジプトのTanta大学の助教授をしている。月桃に関することなら、Professor Tawataが一番よく知っておられる。彼にきくのがベストである。」
Professor Tawata
というようなわけで、琉球大学農学部の多和田教授に連絡をとり、表敬訪問をしたのです。中肉中背の、引き締まったボディーと浅黒い顔した精悍な先生です。後で分かったのですが、空手六段というすご腕なんです。しかも、普通の空手ではなく、沖縄空手の「本部御殿流」(モトブウドゥン流と呼びます)というヌンチャクまで使うめっぽう強い空手です。
農薬がご専門だそうですが、月桃も20年以上研究なさっておられる。世界中に月桃は300種類以上あるが、何でもきいてくださいよということです。くだらん質問も含めた集中砲火を浴びせても、よどみなく、明快に答えられる。さすが、ウルトラ専門家です。さっそく、僭越ではありますが、僕のクリニックと共同研究を行ってもらうことにしました。
これは、双方にとっていいことなんです。農学部では、主に基礎となる化学を追求します。たとえば、月桃に含まれるAという物質の構造式はどんなもので、化学的にどんな作用があるのか。しかし、それが害虫にとってどんな影響を及ぼすかは研究しても、人体に応用することはありません。また、生物実験もせいぜいネズミまでです。いったい、人体に投与したときにどんな効果をもたらすかなど、農学部では行わない。行わないというよりも、行えない。つまり、医学部と組む以外に、行えません。しかも、特に日本の大学は、他の学部との連携が実に悪い。事実上、農学部と医学部の共同研究などめったにありえません。しかし、僕のクリニックと組めば、実際に患者さんにつかってもらえます。また、私のクリニックとしては、琉球大学農学部という、国立大学の権威を与えてもらえます。
現在の多和田教授の月桃に関する研究は、ウイルスと月桃の成分です。月桃のサプリメントを摂ると、長年再発を繰り返していたヘルペスが治ります。またインフルエンザにも非常にかかりにくくなります。免疫の力が強くなるためなのかと漠然と解釈していたのですが、ヘルペスウイルスの増殖自体も、阻害されるのです。ヘルペスウイルスやインフルエンザウイルスのある種の酵素が月桃により阻害されるために、ウイルスが増殖できなくなるのです。
また、特に、クロロゲン酸、エピカテキン、ケルセチン、ケンフェロール、フェルラ酸などがずば抜けて多く含まれています。それら数多くの成分が、各種のウイルス病に効果を示します。
「月桃は沖縄で昔からお茶として飲まれていたくらいですから、副作用はまったくありません。つまり、副作用なく、かつ安価に、ウイルスによるさまざまな発病を防ぐことができるのです。
「3月にサンフランシスコでアメリカ化学学会がありますので、そこで発表するつもりです」、としごく穏やかな声でいわれる。しかし本来、こんなエキサイティングな発見は、穏やかな声でいわれるべきものではありません。
一大スクープになりそうなものですが、月桃は今すぐにでもウイルスによる多くの病気を治せる可能性を持っています。たとえ、治せないにしても、予防に大きく貢献出来る可能性もある。
「ワシが月桃を世界的に有名にしたるわい!」、ということで、サンフランシスコの学会にまでお供することになりました。その時のお話はまた今度。