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グルテンフリーとは!?

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
大晦日、いかがお過ごしでしょうか?

「年越しそば」でも「グルテンフリー蕎麦」なる物がある様です。なんか健康に良さそうな感じですよね!しかも新しい感じがします。

「体に悪いグルテンが含まれない新しい健康に良い蕎麦」と言うイメージを与えようとされていますが、「グルテン」とはそもそもなんなのか?と言うところを知らないと、「グルテンフリー」表記のマーケティングに踊らされるだけです。

という事でグルテンフリーについてまとめてみました。年越しそばを食べる前の方も食べた後の方も、参考にしてみて下さいね。

【グルテンとは】

グルテンとは、「小麦に含まれる蛋白質」と表現されることがありますが、正確に言うと、小麦、ライ麦などの一部の穀物の胚乳に含まれる、グルテニンとグリアジンと言うふたつの蛋白質が、水を吸収して網目状につながった物、で独特のコシや粘りがあります。小麦粉を水で練った後に水でデンプン質を洗い流して出来る、生麩は純粋なグルテンの塊、とも言えます。なので、グルテンには「麩質」と言う呼び方もあったりします。

【「グルテンフリー」の意味とは】

なので、小麦粉加工品にはグルテンが含まれているのが普通ですが、なぜグルテンを含まない「グルテンフリー」が話題になるのでしょうか。

一番のキッカケは、プロテニスプレーヤーのジョコビッチ選手です。彼は検査の結果、グルテンと乳糖(ラクトース)に不耐症があることが判明し、グルテンフリー、ラクトースフリーの食事にしたことでパフォーマンスが上がった、と言うので話題になりました。

グルテンフリーの際に言及される「セリアック病」は、グルテンに対して免疫反応が起こり、グルテンに構造が似た小腸粘膜を攻撃してしまう、自己免疫疾患のひとつです。
食習慣の問題と言うよりは遺伝性の病気で、北欧人に多く、欧州では150人に1人、欧米では250人に1人の割合で発症するとされ、日本を含むアジア人が発症するのは極めて稀といえます。

その後、ミランダ・カーやグウェイネス・パルトロウなどの有名人が「グルテンフリー」を生活に取り入れたことで、肌が綺麗になったとか体重が減ったとかで話題になりましたが、セリアック病気や食物不耐症じゃない人は厳格にグルテンを避ける必要は無いです。

【グルテンと食物不耐症】

近年、遅延型アレルギーが慢性疲労やその他の不定愁訴の原因となり得る可能性が指摘される様になりました。「食物不耐症」と言われることもありますが、好んで食べている物に遅延型アレルギー反応が出ることも多く、好物と思っていたものが、実は健康を害する原因になっている可能性があります。

その為に現代医療で正式に認められてはおらず、たとえば日本小児アレルギー学会では「遅延型フードアレルギー検査は食物アレルギーを判定する上では意味がない」と正式見解を出しています。

医療で対象にするピーナッツや牛乳、卵などの食物アレルギーは「即時型アレルギー」と言われ、食べた後30分以内に急激に蕁麻疹が出たり唇や口の中の粘膜が炎症を起こし水膨れになったり、呼吸困難を起こしたりしますので、診断もしやすく対処法も確立してますが、遅延型アレルギーの場合には、半日から数日経ってから症状が現れる上にその症状も多彩で、検査も保険適応では無いので、医療の対象にするのが難しい側面もあります。

食物不耐症は国や人種によって異なるものの、20%程度の人が何らかの食べ物に不耐症を持っているとされます。食物不耐症は上述の様に症状が遅れて発症することや、食べ物によっては毎日摂取すること、および、症状の多くは生命を脅かす程ではないため、 食物不耐症と気付かず放置されることが多いです。

そのため疲労感や頭重感が慢性的になっている場合があります。実際に慢性疲労患者が、牛乳に含まれるカゼインやグルテンなど、一般的に食物不耐症の原因となる食品の摂取をやめたところ、 疲労を始めとする様々な症状が改善することは珍しくありません。

【許容量は人により異なる】

とは言え食物不耐症は、人により許容量の幅がかなり違います。ジョコビッチ選手の様に、完全に原因食物を断たないといけない人もいますが、量を食べなければ大丈夫な人もいます。現代の栽培品種の小麦では無い「古代小麦」であれば大丈夫な人もいます。

グルテン以外に乳蛋白の「カゼイン」不耐症もありますが、乳製品が少しでも入ってたらダメな人もいれば、ヨーグルトやチーズなどの発酵させた物は大丈夫な人もいます。βカゼインA1が含まれない「A2ミルク」なら大丈夫な人もいますし、乳糖(ラクトース)不耐症の場合には、あらかじめ乳糖を8割分解したアカディ牛乳や発酵製品なら大丈夫な場合もあります。

まとめると、体はひとりひとり皆違う反応を示すので、一律に「◯◯フリー」を取り入れるだけでは無く、自分の肉体に耳を傾けることが大切と言うことです。体に合わない物を選ぶ時だけでなく、自分の体が何を求めているのかを感じ、その時に体が本当に求めている物を体に与えてあげられると、肉体や思考の機能が向上します。

気をつけないといけないのは、現代の食環境で何も考えずに生活して過剰な甘味料やアミノ酸などの旨味調味料の刺激に慣れていると、本来の体の要求では無く、禁断症状による渇望を「体の声」と思い込むことです。
体の声を聞く為には、甘い物や旨味調味料を過剰を使った加工食品を食べる頻度を週1回、月1回などに減らしましょう。
起きている間に水以外口にしない、食べない時間を意図的に設けることも有効です。

【「グルテンフリー食材」の選び方】

最初にご紹介した「グルテンフリー蕎麦」ですが、本来蕎麦にはグルテンは含まれません。その為に水で練ってもまとまらないので、つなぎとして小麦粉を何割か混ぜることが多いです。

しかし世の中には「十割蕎麦」と言う物も存在します。どうやってまとめてるんでしょうかね?危険な添加物を使っているのでしょうか?もしそうなら怖いですね。しかし答えは簡単で安全な解決法が使われています。お湯で練ることで、含まれるデンプン質をベタつかせる「糊化」と言う反応を起こさせているんですね。なので「十割蕎麦」は「グルテンフリー」と書いてなくてもグルテンフリーです。逆に原材料表記に「小麦粉」とある製品は全てグルテンが含まれています。

小麦粉を避けようとして「米粉パン」を選んだりする方もいます。確かに米粉はグルテンを含みません。デンプンを糊化させれば十割蕎麦の様に練りまとめることはできますが、発酵させた際にうまく膨らまないので、「小麦タンパク」などとしてグルテンを添加してる場合もあるので、「グルテンフリー」を目的とする場合には、原材料表記に「小麦タンパク」や「グルテン」などの表記が無いか確認しましょう。

個人差により、小麦粉加工品でもある程度食べても問題ない人がいれば、小麦粉を主体にしていない加工品なら大丈夫な人もいます。その様な方は自分の許容量を超えた時の体調変化を覚えておき、超えた場合には症状が落ち着くまでは避ける様にしましょう。

そして本来その様な成分が含まれないのに、「◯◯フリー」と言う表記をした方が製品が売れると言う理由で記載されていることがあります。実際に米国ではボトル入りの水に「グルテンフリー」と書かれたやや高額な製品が存在します。嘘はついておらず、詐欺とは言えませんが悪質ですよね。逆にグルテンが入ってる水って、小麦粉麺の茹で汁くらいしか無いです。

「◯◯フリー」表記に踊らされるのでは無く、原材料表記を確認した上で、自分が不耐症の食材や抽出物が使われていないかを確認する様にしましょう。そして元々含まれない成分を「フリー」と表記した高額な製品に騙されない様にしましょう。

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