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dr_kobaia
Mighty Joe Young – Chicken Heads (1974)
シカゴの名ギタリストである"Mighty" Joe Youngは、60年代はOtis RushのバンドやBilly Boy Arnoldのファースト・アルバムなどで存在感のあるプレイを聴かせ、ブルース・ファンのハートを地道に、そして確実につかんでいた。70年代に入って自身のバンドを率いる順番がめぐってくる頃には、ブルースの世界はじわじわとファンクの波が寄せていた。
『Chicken Heads』に参加したミュージシャンはいずれもソウルに腕のある男たちで、特にLouis Satterfieldなどは、Muddy Watersのアシッド・ファンク作品『Electric Mud』でけたたましいベースを弾いていた強者だ。オヴェイション・レーベルに残された2枚のアルバムは、現在でもファンキー・ブルースの名盤として不動の存在となっている。
新時代のリズムを感じさせる「Move On Higher」や「Chicken Heads」のインパクトもさることながら、一方「As The Years Go Passing By」ではYoungのギターが実によく泣いている。この稀有なギター・ボーカリストは、むしろスローなナンバーや「Big Talk」のようなスタンダードなスタイルの曲でこそブルースの色気を放っている。
かつて〈アメリカの差別を逃れてヨーロッパに根をおろすつもりはないのか?〉というSamuel B. Chartersのインタビューに、Youngはノーと答えた。「Take Over Chicago」はシカゴのシーンを引き継ぎ、この街でプレイを続けるのだ、という彼の意志と燃えるような野心が満ちている。さりげないが重要な一曲だ。