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Photo by
dr_kobaia
Buddy Miles Express – Expressway To Your Skull (1968)
ドラマーBuddy Milesは、Jimi HendrixのアルバムやRoger Cormanの映画サウンドトラックなど60年代の多くの重要なセッションに参加してきた。実質的な最初のソロ・ワークである『Expressway To Your Skull』は、彼独自のファンキー・ロックにところどころサイケの酩酊感を漂わせているが、こうしたジャンルの折衷は当時の混沌をよく反映している。真に強力な一枚である。
Jim McCartyのストーンド・ギターとThe Electric Flagを思わせる重厚なブラスが大立ち回りを見せる「Train」、ハード・ロックのリフと古き良きソウルのメロディを意識したような「Spot On The Wall」は、彼の個性の生きた見事なオリジナル・ナンバーである。ライティングにはThe Electric Flag時代にサックスを吹いていたHerbie Richが貢献していた。
本作で取り上げられているR&Bのクラシック、つまりSam & Daveの「Wrap It Up」やOtis Reddingの「Don't Mess With Cupid」だが、これらはMilesが個性的なソウル・シンガーでもあったことの証明だ。特に前者のラストで聴けるぜいぜいとあえぐ彼の呼吸、それに続く爆発的なシャウトはドラマーとしてのボーカルの領域を完全に逸脱している。
MilesはExpressの解散後に本格的にHendrixとの活動を行う。フィルモアの名演で知られるBand Of Gypsysは、Hendrixの音楽性によりファンキーな解釈が加わったものだったが、それに大きく貢献したのはまさにこの強力なMilesのグルーヴなのだ。