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"Baby Face" Willette – Face To Face (1961)

 ブルーノートの伊達男Roosevelt Willetteのそばには、常にGrant Greenの姿があった。WilletteはGreenの初リーダー作『Grant's First Stand』(このアルバムがお互い初のブルーノート録音となった)に参加し、R&B色の強いGreenらしさ、つまり彼のブルース・フィーリングを引き出すという仕事を見事にこなしてみせた。そしてWilletteのリーダー作である今回の『Face To Face』では、オルガン・ジャズにふさわしい迫力と熱気に満ちたセッションを繰り広げた。
 「Whatever Lola Wants」を除いてWilletteのオリジナルで占められており、「Swingin' At Sugar Ray's」ではギターとパーカッシブなオルガンの応酬が、「Goin' Down」ではFred Jacksonによる外連味たっぷりのサックスが圧倒的だ。Jacksonはこのブルースのゆったりしたテンポの中で印象的なブロウをふりまいていくが、その絶妙な間の取り方はまるで饒舌な牧師の説教のようである。
 「Face To Face」はハードバップの残り香を放つナンバーで、「Somethin' Strange」では再びGreenのブルース・プレイヤーとしての顔が浮き彫りになる。そして彼のギター・ソロの後に飛び込んでくるJacksonのフレーズには、ちょっとした遊び心が垣間見える。
 同レーベルとシカゴのチェスの子会社だったアーゴにそれぞれ2枚ずつアルバムを残したWilletteは、短い年月の間にソウル・ジャズ界を駆け抜けていった。いずれもオルガン・ジャズの典型的スタイルでありながら、彼の作品にはオリジナルとしての個性が確立している。特に64年のファンキー・ジャズの傑作『Mo' Rock』は必聴だ。