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Roxy Music – Country Life (1974)

 当時の最先端だったグラム・ロックという言葉でさえ、Roxy Musicの音楽性を語るうえではいささか役不足だ。挑発的なジャケットによる騒動を除けば、『Country Life』はBrian Enoが脱退した後のバンドが順調に独自の芸術性を構築しつつあったことを示している。
 文字通り緊張感に満ちた「The Thrill Of It All」の中でも、ルーズなブルース「If It Takes All Night」においてもBryan Ferryは常に魅惑的な男に見える。Roxyはこうしたナンバーでロック・グループとしての力量を誇示しつつ、一方「Bitter-Sweet」ではおおげさに芝居がかったサウンドトラックのようなポップ性を、さりげなく見せつけている。この歌は90年代の耽美映画『ベルベット・ゴールドマイン』の中でThom Yorkeがカバーして話題となった。
 『Country Life』の後、本国での人気が順調に上がりつつあった彼らは、「Love Is The Drug」で本格的に国際的な名声を掴んでいく。そしてアルバム『Avalon』でそのポップ・ミュージック美学は頂点に達した。
 ジャケットの二人はクラウトロックの世界では知られた存在である。右側のConstanze KaroliがCanのギタリストMichael Karoliの血縁であることは有名だが、左側のEveline Grunwaldはビジュアル・デザイナーとして様々な作品に貢献している。例えば『Delay 1968』の大胆なアートワークは彼女の手によるものだ。