Jimmy Smith & Wes Montgomery – The Dynamic Duo (1966)
"The Incredible"と謳われたヴァーヴ・レーベルの看板オルガニストJimmy Smithと、かたや『The Incredible Jazz Guitar Of』でモダン・ジャズ・ギターの夜明けを告げたWes Montgomeryが出会ったら、いったいどうなってしまうのだろう?
その名も『The Dynamic Duo』と銘打った本作は、常にデッドヒートを繰り広げるレースのようにスリリングで、同レーベルひいては60年代ジャズを語るうえで決して欠かせない名盤となり、セールス的にも大成功を収めている。Smithのインタビューによれば、この緊張感に満ちたセッションがリハーサルもなく行われたというのだからなんとも驚きだ。
「Down By The Riverside」の中で情熱的に弾きまくるSmithに対し、Montgomeryは優雅なトーンで答える。一転して後半ではMontgomeryのオクターブ奏法がヒートアップしていく。二人はともに、ポップな外連味を押し出しつつ個性的なテクニックをふるうクセの強いプレイヤーではあったが、ホットなSmithのオルガンとMontgomeryのクールなギターが見事なコントラストとして浮かび上がってくる。かくも見事なコンビネーションが成立したのは、両者の演奏の根底に、確固たるブルースの素地が共通して存在したからだ。
セッションの立役者はもう一人いて、大々的なオーケストラ(この二人にはこれくらい喧しくてちょうどいい)を率いて二人の競演をお膳立てしてみせたOliver Nelsonだ。ソウルの名曲「Night Train」のゴージャスなイントロなどはそのいい例である。