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Elvin Bishop – The Blues Rolls On (2008)

 『The Blues Rolls On』は、Elvin Bishopのファンだけでなくモダン・ブルースを愛する者にとっては涙が出てくるようなアルバムだ。本作に参加したミュージシャンにはDerek Trucksのような若手のトップを走るプレイヤーだけでなくB.B. KingやJames Cottonといった大御所が名を連ねて、まるで音楽フェスのような賑々しさを見せるが、それは彼らが皆Bishopのブラック・ミュージックに対する並みならぬ愛情に賛同しているからだ。
 ライブ音源の「Yonder's Wall」は彼のキャリア初期にあたるButterfield Blues Bandのレパートリーだったものだ。カプリコーン時代のファンキー・ブルース「Struttin' My Stuff」ではDerek TrucksとWarren Haynesとの三つ巴の素晴らしいギター・ジャムを展開する。「I Found Out」や「Send You Back To Georgia」では原曲の様式の踏襲(Junior Wells風のボーカル、アクの強いHound Dog Taylorのスライドを見事に再現している)と、現代的なサウンド・アレンジのアップデートを両立してみせた。
 アルバムはほとんどが上記のようなR&Bの名曲で構成されているが、Bishopのオリジナルにも興味を惹かれる。タイトル・トラックはRobert JohnsonからStevie Ray Vaughanまでの錚々たるブルースマンが連綿と紡いできたグルーヴを讃えており、原点回帰的なスタイルの「Oklahoma」はシンプルな弾き語りだが、彼のギターが最も強烈に響くのもまたこの曲である。
 このアルバムはグラミー賞の〈トラディショナル・ブルース部門〉にもノミネートされた。また、多彩なミュージシャンが参加する作風は次作の『Red Dog Speaks』にも引き継がれている。