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The Deviants – Ptooff! (1967)

 Mick Farrenを中心に結成されたSocial Deviantsはもともと音楽だけにこだわらないアート・グループで、ロンドンで建築学や文学を志す学生たちのコミュニティでもあったUFOクラブで演奏をした。The Deviantsと改名してからレコーディングに乗り出すようになった彼らは、そこでもアングラ・バンドとしてのDIY精神を発揮している。セルフ・プロデュースされたファースト・アルバム『Ptooff!』は、地元の地下雑誌を通じて数千枚のプレスが流通された。
 初期のPink FloydもUFOをネグラにしていたバンドの一つだったのだが、彼らが(名前を除けば)古典的なブルースからの影響をそれほどあからさまにはしていなかったのに対し、『Ptooff!』の音楽的コンセプトは、意外なまでに実直なR&Bサウンドと、Jimi HendrixやThe BeatlesといったUKトレンドの寄せ集めである。けだるいイントロに始まる「Garbage」は、いつの間にか軽快なジャングル・ビートに乗っ取られ、後半は「Help Me」調のおなじみのリフさえ飛び出してくる。さらに「Charlie」はJimmy Reed風の心地よいブルース・ロックに仕上がっている、という具合だ。
 とはいえ執拗なまでのサウンド・コラージュの多用や、過激で前衛的な歌詞と演奏はガツンと聴く者の脳ミソに響いてくる。トラッド調の「Child Of The Sky」も多分に美しいが、本作のハイライトはサイケ・ギターのさく裂する「I'm Coming Home」か「Deviation Street」だろう。特に後者では当時のコンサートの喧騒を再現するかのような試みが印象的だ。