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Little Brother Montgomery – Blues (1961)

 結局のところ、ブルースの大名曲「44 Blues」の生みの親は誰なのか?Paul Oliverの地道な調査によれば、この曲はミシシッピ州ビックスバーグのジュークを渡り歩いていたLittle Brother MontgomeryとErnest "44" Johnsonらによって作り上げられたもので、当時は歌詞のないホンキートンク・ブルースだったという。そしてピアニストLee Greenを介してこの曲を知ったRoosevelt Sykesは、1929年に自作の歌詞を付けてレコードに吹き込んでしまったのである。Montgomeryが「Vicksburg Blues」として録音したのはその翌年の出来事だ。
 Sykesは「44 Blues」、Greenは「Number Forty-Four Blues」のタイトルでそれぞれMontgomeryたちを出し抜いたわけだが、本作に収録されたインスト「Vicksburg 44」は、まさしくこの曲のオリジナルの姿だ。Montgomeryは60年代初頭に積極的にアルバムを残しているが、バンド形式の録音だったブルースヴィル盤に対して、このフォークウェイズ盤『Blues』は彼の独演のスタイルを再現しようとしている。
 重要作は他にもある。「Crescent City Blues」はJohnny Cashの「Folsom Prison Blues」の原型となった歴史的な曲だ。思わず体が動き出す「Louisiana Rag」や「L&N Boogie」は、ルイジアナやミシシッピの酒場の雰囲気を何十年もの時を超えて聴く者に伝えてくれる。甘く語りかけるような「Storyville Blues」はピアノ・ブルースの円熟の極致だ。
 バレルハウス・ピアノの演奏を聴くことは、かつて黒人労働者の最高の贅沢の一つでもあった。シンプルな弾き語りのスタイルで繰り広げられるMontgomeryの滋味深い演奏を耳にすれば、誰もがそれに納得できるはずだ。