Georgie Fame – Rhythm And Blues At The Flamingo (1964)
Booker T. Jonesには感謝するしかない。1960年にマネージャーのLarry Parnesに解雇されたばかりだったGeorgie Fameは、ロンドンのフラミンゴ・クラブでアメリカのGIに出会い、その時The M.G.'sの「Green Onions」のレコードを聴いたという。おかげで彼はソウル・ジャズに目覚め、ピアノとロックンロールに別れを告げる決心がついたのだ。
早速ハモンド・オルガンを手に入れたFameは、野性的なファンキー・サウンドでクラブをグルーヴの渦に巻き込むようになる。彼の生き生きとしたステージを捉えたライブ盤『Rhythm And Blues At The Flamingo』は、たちまちロンドンのモッズ・シーンのサウンドトラックになった。ジャケットに映った若き日のFameはおしゃれで知的な英国青年といった印象を与えるが、Rufus Thomasの有名曲「Do The Dog」のワイルドな演奏が終わった後の観客の〈お行儀の悪さ〉は、ステージの熱狂を否応なく反映している。
バンドのThe Blue Flamesもまさに伝説のバンドと呼ぶにふさわしいメンツで、後にGonzalezに参加するサックス・プレイヤーMichael Eve、英国ロック・ギターの礎となるBig Jim Sullivanらが在籍していた。ジャズっぽいインスト「You Can't Sit Down」や、ラテンをいち早く取り入れた「Eso Beso」には彼らのテクニックと抜群のセンスが活きている。
Fameのもう一つの武器である気品のある歌声は、アルバム全体に満ちたジャズのテイストにもよく合っている。ブルースの古典「Let The Good Times Roll」から「Humpty Dumpty」のようなスカ・ナンバーまでスタイリッシュに料理してみせる彼には、歌えない曲などないと思わせるほどだ。