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Kenny Burrell – Kenny Burrell (Vol. 2) (1956)

 ジャズの続編アルバムにはありがちなことだが、Kenny Burrellのブルーノート2作目は、処女作にして傑作である『Introducing Kenny Burrell』を生んだ1956年5月のセッションのアウト・テイクが収録されている。他の曲に関しては録音日時もメンバーも異なるものだが、それは本作にとっては些末な問題だ。無伴奏の「But Not For Me」の素晴らしさはもとより、Kenny Dorhamによる伝説的なグループThe Jazz ProphetsがBurrellのギターを大々的にフィーチャーした「Mexico City」など、興味深さに関しては彼のディスコグラフィの中でも屈指の作品である。
 冒頭の「Get Happy」はCandidoによる軽快なコンガがさえわたっている。彼は『Introducing~』のセッションにとても印象的なリズムをもたらしたが、曲の後半ではTommy FlanaganのピアノとBurrellのギターを呑んでしまうほどの存在感を放つ。かたや「But Not For Me」は完全なBurrellのソロ・プレイで、静謐な中に漂うそこはかとないジャズ・ギターの熱はファンの語り草となった。
 「Mexico City」は言わずと知れた名盤『'Round About Midnight At The Cafe Bohemia』のメンバーによる別バージョンで、J.R. Monteroseの代わりにBurrellが長いソロを執った熱いテイクだ。アルバム全体から見れば趣向は異なるが、ハードバップの歴史的名演を別の側面から捉えた貴重な瞬間であることは疑いようがない。
 印象的なアートワークは、イラストレーター時代のAndy Warholによるものだ。彼は50年代までは多くのアルバムのジャケットを手掛けた作家であり、後のBurrellの『Blue Lights』にもセクシーな作品を提供している。