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Jimmy Giuffre – Western Suite (1960)

 50年代の後期からドラムを排した実験的な編成で注目されていたJimmy Giuffre 3は、当初はGiuffreのサックスとJim Hallのギターに、Ralph Peñaのベースを擁していた。じきにPeñaがトロンボーン、ピアノ奏者Bob Brookmeyerに代わると、この風変わりなトリオはアルバム制作のほか、映画『真夏の夜のジャズ(原題:Jazz On A Summer's Day)』に出演するなど活躍の幅を広げていった。
 本作の目玉である「Western Suite」は、映画の舞台になったニューポートのステージでも披露(本編には未収録)されていたホットな曲でもあった。Giuffreはもともとこの曲を四部構成の大作として作ろうとしていたが、書き進めていくうちにウエスタン音楽に似たフォーク・カントリーのテイストが生まれているのを見出していったという。特にその要素を負っているのはHallのギターで、第一部の荒涼とした雰囲気や、第四部のほの暗いスインギーさがなんともクールだ。
 ビッグバンド時代の名ギタリストEddie Durhamによる「Topsy」や「Blue Monk」では、クラリネットに持ち替えたGiuffreの演奏が聴ける。最低限のメンバーでありながらニューオリンズ・ジャズの温かみやスイング・ジャズの確かなリズムを感じさせることができるテクニックには脱帽しかない。