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Trapeze – Live In Texas - Dead Armadillos (1981)

 Deep PurpleとTrapezeの共通点といえば、名ベーシストにして素晴らしいシンガーでもあったGlenn Hughesが在籍していた事実と、もともとはアシッドな雰囲気をまとっていたアート・ロックのグループだった、ということぐらいだ。Hughes脱退後のTrapezeはギターのMel Galleyを中心にして、サウンドの変革もなされた。本国イギリスよりもアメリカ(特に南部のテキサス)で熱く受け入れられていた彼らは、ライブとアルバムの発表を重ねるごとにファンク・ロックの色を強めていき、81年の本作ではDeep Purpleとは全く異なるGFRのような骨太の演奏を繰り広げる。
 『Hot Wire』のオープニングを飾った「Back Street Love」は名刺代わりの一曲で、Peter Goalbyの野性的なシャウトとシンプルなリフが、熱狂的なオーディエンスの盛り上がりをもって完成されている。元The Moody BluesのJohn Lodgeがプロデュースした「Black Cloud」も、このライブではアコースティックの持つ優雅な要素を根こそぎ落とし、タイトで思い切りのいいハード・ロックに生まれ変わった。
 「You Are The Music」は言うまでもないTrapezeの代表作で、バンドと観客がボーダーを超えてすべて一体となり、とにかく気持ちよさを追求し続けるロック・アンセムだ。つい忘れてしまいがちになるので繰り返すが、彼らは正真正銘イギリスのバンドなのである。