見出し画像

Jimmy Smith – The Sermon! (1959)

 Jimmy Smithは、それまでゴスペルが本領であると思われてきたオルガンという楽器をジャズの花形に据えた真の革新者であり、ソウルに根差した独自のサウンドで異彩を放った個性派のプレイヤーでもあった。マンハッタンのスタジオで行われたセッションにはArt BlakeyやLee Morganといったプレイヤーたちが顔を揃えたが、彼らはSmithの持つ〈熱〉を的確に引き出すことができた。
 タイトル・トラックの「The Sermon」は、セクステットで行われる20分におよぶ素晴らしいソロのオンパレードで、ブルージーで洒脱なKenny Burrellのギターや伸びやかなTina Brooksのテナーが印象的だ。Smithは細かな連弾やソウルらしいタメを駆使してスタジオの熱気に的確にガソリンを吹きかけていく。ラストはBlakeyのドラムにまくしたてられて、ゴスペルらしいタイトルを象徴するように高揚したアンサンブルで締めくくられる。
 また、ハイテンポな「J.O.S.」ではMorganのデンジャラスなトランペット・ソロが聴ける。さらに、Smithのサウンドがソロの切り替えを促すような合図を繰り出すシーンにはセッションの緊張感が見て取れる。Morganに続いて流れるようにしなやかな音色を放つのは、Smithの多くのセッションを彩ったギタリストEddie McFaddenだ。「Flamingo」は美しいスタンダード・ナンバーだが、ここでセッションの中核をなすのはMorganであり、当時弱冠20歳だったとは思えないほどに円熟した繊細なバラードが展開する。