Sonny Clark – Sonny Clark Quintet (1976)
ブルーノート・レーベルは往々にして上質なセッションをお蔵入りにしてしまう。『Sonny Clark Quintet』もその一枚で、かの名盤『Cool Struttin'』の続編ともいうべき立ち位置にありながらも未発表の憂き目を見ている。もともと西海岸を拠点にしていたSonny Clarkは、当時NYでの知名度が高いとは言えなかった。本作は1500番台のカタログ番号を与えられていたため、まさに発表手前でのお蔵入りだったことが想像できる。しかも20年近く経って本作を発掘したのは、アメリカ本国よりもClarkを高く評価していた日本のレーベルだった。
58年の1月に録音された「Royal Flush」と「Lover」は、ともすれば『Cool Struttin'』に収録されていたかもしれない2曲だ。というのも同一のセッションで吹き込まれていたからで、Jackie McleanとArt FarmerのホーンとClarkのピアノが、明快なビートの絆でがっちりと結ばれている。"Philly" Joe Jonesとはトリオでの共演経験もあり、こちらも息はピッタリだ。「Royal Flush」ラストのドラム・ソロが絶好調で素晴らしい。
B面には、Clarkと同様にブルースに定評のあるギタリストKenny Burrellが参加しているのが興味深い。「Minor Meeting」は、名曲「Blue Minor」を思わせる翳りのあるテーマが印象的で、「Eastern Incident」はその名の通りエキゾチックな趣を湛えている。ハイテンポで繰り広げられる「Little Sonny」のメイン・テーマなどは、BurrellとClarkのタッグが最高のかたちで実を結んだ瞬間だといえる。また、「Lover」以外はいずれもClarkの筆によるオリジナルだが、Alfred Lionが彼を作曲家として大いに買っていたというのも納得だ。