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第七天国 / 7th Heaven (1927)

 生涯をかけて愛を探求した監督Frank Borzageの、サイレント期の代表作が『第七天国』だ。お粗末なパリの街並みのセットはフランス人の失笑を買ったが、主演のCharles FarrellとJanet Gaynorが映画史上最も理想のカップルであることは世界中のだれもが認めたことだろう。
 パリ街の下水道の掃除夫であるシコーは、いつか自分の人生が陽の目を見ることを信じて暮らしている。ある日、姉にいじめられながら同じくみじめな生活を送る女性ディアンヌを救い、ふたりはともに貧民街にある下宿屋の七階の部屋で暮らし始める。しかし、やがて世界大戦がふたりの生活に影を落とし、シコーはラ・マルセイエーズが響くなか出征していくのだった。
 <七階の天国>でFarrellとGaynorがつむぐつつましやかな生活は時にコミカルであり、時に心優しい仲間を交えて人情味あふれた人間ドラマを描き出す。牧師のいない結婚式の幸せな雰囲気、戦争の悲劇と、そしてラストに起こるある奇跡など、涙なしに画面を見つめることが出来ないシーンがこの映画にはあふれている。
 本作には意外なトリビアもある。Gaynorはこの作品で第一回のアカデミー主演女優賞を獲得したが、同年の彼女の主演作『サンライズ』も〈芸術作品賞〉という部門(現在は存在しない)を受賞している。1927年はGaynorの最初の黄金時代といえる年だったのだ。