Colosseum – Live (1971)
Colosseumはロック・ミュージックが秘めていたクロスオーバー精神を、アルバムを出すたびに果敢に切り開いた。名門ヴァーティゴの記念すべき第一作『Valentyne Suite』は、レーベルだけでなく多くのプログレのグループが進む方向を決定づけた。
名ドラマーであるJon Hisemanを中心に結成こそした彼らだが、メンバーの個性の強さは驚嘆に値する。Colosseumが包括する音楽は限りなく広大だ。Hisemanとゆかりの深いベーシストJack Bruceがハードロックとジャズを融合した名曲「Rope Ladder To The Moon」ではDave Greensladeが緊張感に満ちたオルガンを奏でる。対して「Walking In The Park」のDave Clempsonのギターソロは、ハードロックの領域にまで到達した。スタジオから解放された彼らの演奏は、いずれも原曲をはるかに超える熱量で迫ってくる。「Tanglewood '63」ではDick Heckstall-Smithが情熱的なサックス・ソロを聴かせている。T-Bone Walkerによるスタンダード「Stormy Monday Blues」でいったんバンドは原点に立ち返ったかに思えるが、問題児のChris Farloweが自由なファルセットをさく裂させれば、たちまち型破りなステージに変貌する。
個性のるつぼであった Colosseumの実力は、スタジオ・アルバムに収まりきるものでなかったことは本作で明らかになった。発表直後にバンドは解散するが、各々のメンバーは多くの重要なグループの中心として活躍していく。90年代に入るとオリジナルの面子が集結して再結成アルバムを積極的に制作した。