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John Coltrane – Live At Birdland (1964)

 John ColtraneがJimmy Garrison、McCoy Tyner、Elvin Jonesらをメンバーに迎え、史上最も完璧に近いカルテットを完成させた1962年以降、彼らの演奏の完成度と先進性は加速度的に研ぎすまされていった。63年に名門クラブ〈バードランド〉で録音されたライブ盤は、翌年発表の『A Love Supreme』と同様に無視しがたいアルバムである。
 スピリチュアルな「Afro-Blue」は「My Favorite Things」に並ぶソプラノの名演で、TynerのピアノもColtraneに負けない気迫に満ちている。バラード「I Want To Talk About You」は50年代にも一度吹き込まれているが、本作のバージョンが決定版といえる。ラストの約3分に及ぶ文字通りのサックス・ソロも素晴らしい。
 そして「The Promise」の演奏に沸く、観客たちの熱狂を断ち切るようにして始まる「Alabama」。これはアルバムの題名に反してバードランドの収録でも、ましてやライブ録音でもないが、Coltraneの感情が特に伝わってくる最も重要なトラックであることも確かである。なぜならこの曲は、63年にKKKの爆破テロで殺害された4人の子供たちに捧げられているからだ。ここに限っては、彼の視線は求道者として超自然に向かっているのではなく、神に見放されつつあったアメリカの社会へと注がれている。重く渦巻くような演奏のなかで、Coltraneが自身の怒りとも悲しみとも言いえない気持ちと対峙するかのようなこのナンバーは、Spike Leeの92年の映画『マルコムX』の劇中でとても印象的に使用されている。