Chicago – Chicago At Carnegie Hall (1971)
ジャズとブルースを呑み込んだ強力なサウンドに、インテリっぽい実験性と政治的なメッセージを添えて注目を呼んだChicagoは、デビューから一貫してダブル・アルバムを発表してきた。ファンのすそ野はシングルのヒットでも広がり、71年4月にニューヨークのカーネギーホールで開催された6日間のコンサートはあっという間にチケットが完売している。これはロック・グループとして初めての快挙でもあった。
好評だったライブの膨大なマテリアルからなる『Chicago At Carnegie Hall』は、LP4枚組というボリュームで製作された。このかつてない大作主義は曲の一つ一つにまで及んでおり、例えばJohn Lennonの歌詞を引用したブルース「South California Purples」などは、長尺なインプロヴィゼーションによって15分にも及ぶ大曲と化しているうえに、セカンド・アルバムに入っていた組曲の「It Better End Soon」も拡大して収録されている。
ライブの内容はおよそ非の打ち所がないように聴こえるが、クラシック向けのホールにおける演奏だったために、ブラス隊のLee LoughnaneやJames Pankowからは音の伸びなどに関して不平の声が上がっていたのも確かだった。だが思い切りのよいジャム・ロック「Happy 'Cause I'm Going Home」や、グルーヴの嵐と化したSpencer Davis Group版「I'm A Man」の出来は特筆に値する。他にも、Terry Kathのアグレッシブなギターを聴きたければ「I Don't Want Your Money」、3重のコーラスワークを味わうならば「Where Do We Go From Here」など、楽しみは尽きない。