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Jackie McLean – Jackie's Bag (1961)

 Jackie McLeanのブルーノート・レーベルにおける4枚目のリーダー作『Jackie's Bag』は、A面とB面で演奏の趣向が違って聴こえる。だがそれもそのはずで、2つのセッションは1年半近く間隔が空いているうえに、メンバーもPaul Chambers以外は全く異なっているからだが、奇しくもそれが、McLeanの音楽性の静かな変化を感じられる造りにもつながっている。
 59年録音のA面は、McLeanのブルーノートで初めてリードを執ったものだ。勢いのある「Quadrangle」ではDonald Byrdとの濃厚なハード・バップのサウンドがやり取りされており、一方「Blues Inn」では、たびたび共演していたSonny Clarkのピアノは変わらぬスタイルを貫いていることも分かる。
 60年の9月に録音されたB面ではTina BrooksとBlue Mitchellを擁し、よりモーダルになったソロの応酬が聴きどころとなった。おそらく多くのリスナーがハイライトに挙げる名曲「Appointment In Ghana」や、Brooksのテナーがさえわたっている「Isle Of Java」が素晴らしい。三重となったホーンのアンサンブルが放つこの重厚な深みには、ハード・バップ以降のジャズに対するMcLeanの回答が込められている。
 本作はCDで再発された際に、後半のセッションのアウトテイクが追加で収録されている。当時は発売が見送られて欠番(4052番)となったBrooksの幻のアルバム『Back To The Tracks』にも収録された「Street Singer」をはじめとして、いずれもホーンの絡みが極上の演奏であった。