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まかない作ってみろ
昔、指導医から指導を受けた時のことを書きます。
私は初期研修医で、指導医は60歳くらいの男性開業医でした。
地域研修の一環で、私は所属していた基幹病院から開業医のところに派遣されていました。
指導医からすると、
「今の研修医は甘い」とのことでした。
「なんでも教えてもらえると思っていやがる」というのが口癖でした。
医者は職人の世界。
口を開けていれば餌を入れてもらえる
という態度で研修していてはだめなのだそうです。
その時に、指導医から聞いた、料理人の見習いの話を書きます。
料理人は、皿洗いから始まります。
皿洗いを命ぜられた見習いは2パターンに分かれます。
皿洗いだけをする人間
と、
皿洗いをしながら大将の技を盗む人間です。
そして、時が来た時に、大将から言われるのです。
「まかない作ってみろ」と。
その時に、日ごろから準備していない人はアウト。
皿洗いは一人前ですが、まかないがまともに作れません。
日ごろから大将の技を盗もうと努力していて、自分で料理が作りたくてうずうずしている人は「合格」となります。
たしかに、医者の世界にも「まかない作ってみろ」はあります。
外来見学の時に「先生だったら、どの薬出す?」と言われたり、
外科研修で手術に入っているときに、「ここ縫合してみて」と言われることがあります。
外来見学の時に、ボケっと見ているだけだったり、
手術中にボーっとしてはいけないのです。
いつか自分がプレイヤーになってやるぞという向上心がないといけません。
そして、最も重要なのが、チャンスは一度きりということです。
「まかない作ってみろ」
「先生だったら、どの薬出す?」
「ここ縫合してみて」
への対応が不合格だと、次がないのです。
「こいつは見込みなし」で終わりです。
厳しいようですが、これが職人の世界です。
医師の世界にもこのような職人としての側面はあると私は思っています。
いつでも、まかないをつくれるように準備しておきたいものです。
自戒を込めて。
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