「意外と知らないお酒の科学」を学ぶ
ウイスキーについてはかなり勉強したが,お酒全般についてはよく知らない.そこで,たまたま検索に引っかかった本書「意外と知らないお酒の科学」を読んでみた.
国内外の様々なお酒の種類や作り方が紹介されているのはもちろん,様々な酒器の説明などもあって,なかなか珍しい本だと思う.
なお,この本は癖が強い.かなり強い.
例えば,純米酒と醸造酒の違い.これらの違いについては何となく知っている人もいるだろう.醸造酒は純粋に米と麹のみから作られるのではなく,醸造アルコール(米を発酵させてできるアルコールではなく,他所で作ったエタノール)を加えている.そして,醸造アルコールの重量は原料米の重量の10%以下と決まっている.このため,上限近く醸造アルコールを加えると,日本酒のアルコール分の半分以上が醸造アルコールという状態になる.
ウイスキーにしろ,その他のお酒にしろ,これだけエタノールを添加することが認められているお酒はない.このため,本書の著者は醸造酒を目の敵にしてる.まがいもの扱いだ.
さらに,焼酎の甲種と乙種の違い.これも何となく知っている人はいるだろう.蒸留が連続式か単式かの違いだ.それはその通りなのだが,乙種(高級な焼酎はこちら)の焼酎造りに使われる単式蒸留について「蒸留の精度が悪いので、原料の風味が残ります」と書いてある.精度が悪いとは酷い表現だ.
まあ,それでも全体として読みやすく書かれている.
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