【読書】国家(上)(プラトン)
プラトンが著した数多くの対話編の中にあって,その最高峰とも評されるのが「国家」だ.本書では,人間の善し悪しのみならず,国家の在り方が論じられている.国家とはどのように在るべきかという問いに対して,プラトンはソクラテスの口を借りて「哲学者による統治が最善である」と答える.これが,哲人統治だ.しかし,この哲人統治思想は古代ギリシアにおける政治体制の現実とは大きく乖離しており,また現代に至るまでの世界史の中でもほとんど実現されたことはない.数少ない例の1つが,「自省録」で知られるマ