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漢方雑談10/1の振り返りをします②

10月1日(火)21:00〜
今回のテーマは、高血圧に対する東洋医学的アプローチ(後編)
高血圧に養生で出来ること


高血圧に養生で出来ること

・減塩(精製塩を避ける)
・カリウム・マグネシウム・カルシウムを摂取する
・カルシウムとビタミンDの話
・加工食品を避ける
・無機リンは動脈硬化に繋がる
・運動の効果はどのくらいあるのか
・睡眠の質の改善(睡眠時無呼吸症候群について)

減塩(精製塩を避ける)

高血圧といえば、すぐに減塩というイメージがありませんか?
日本人の食塩摂取量の推移は以下の通りです。
日本における食塩摂取量の現状と減塩推進への課題(厚生労働省)より

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000760248.pdf

減塩とは言われていますが、なかなか目標に辿り着かない状態が何年も続いています。減塩の血圧への効果としては、1g減らすと、1mmHg下がると言われていますので、その程度か〜と思う方も少なくないのではないでしょうか。

最近言われていることは、
「減塩するなら塩をまずは変えよう・見直そう」です。
塩と言っても、作られる工程によってさまざまな塩が存在します。
世の中で広く使われている食卓塩などは、海水を電気分解の力で塩化ナトリウム(NaCl)にしたもので、安く大量に生産するために考えられた塩で、
精製塩と言われます。
製品の裏面に99.5%塩化ナトリウムなどと記載されています。
また工程に、イオン交換膜と書いてあれば精製塩の可能性が高いです。

塩を選ぶ時は、出来れば天然塩を選んで下さい。
自然乾燥や平釜で煮詰めるなどの工程で作られます。
そのため、NaCl以外にも、K(カリウム)やMg(マグネシウム)やCa(カルシウム)などが含まれています。
カリウムやマグネシウム、カルシウムは、ナトリウムを体の外に出すような働きがありますので、一方的なナトリウム負荷にはなりません。

加工食品や外食では、確実に精製塩が使われ、かつ大量に、
使用されていることが多いので、より注意が必要になります。

カリウム・マグネシウム・カルシウムを摂取する

塩のところでも説明しましたが、ナトリウムと引き換えにナトリウムを体外へ排泄する作用がありますので、過剰に摂取する必要はありませんが、これらのミネラルの摂取不足は避けたいところです。

カルシウムとビタミンDと血圧の話

カルシウム摂取量と血圧に関しては、
カルシウムの摂取量を増やすことで、血圧が1〜2mmHg低下したという報告があります。一方で、不足すると、ナトリウムの排泄が抑えられ、ナトリウムが溜まり、血圧上昇する可能性があります。

カルシウムといえば、「ビタミンD」の存在が不可欠。
ビタミンDは、腸管からカルシウムを吸収して、血液中のカルシウムバランスを整えています。そのため、ビタミンDが少ないと、カルシウムが効率的に吸収されません。
現代人は、食事からのビタミンD摂取量は少ないと言われています。もし食事からの摂取量を増やしたいのであれば、ビタミンDは脂溶性で油との相性がいいので、きのこを油で炒めるというのが、効率よく摂取するポイントです。こちらも併せて参照下さい。
https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/jsport/performanceup/36522/

ビタミンDのサプリメントもありますが、含有量や添加物など、それぞれの製品をチェックする必要があります。
ちなみにですが、ビタミンDは過剰だと、高カルシウム血症となるので要注意です。吐き気、食欲低下、嘔吐、不整脈などが引き起こされます。

加工食品を避ける、無機リンは動脈硬化に繋がる

精製された塩もそうですが、保存料や安定剤・乳化剤など食品添加物として使われている無機リンには要注意です。
無機リンは体に吸収されやすく、過剰摂取は血管を硬くします。結果的に、石灰化や動脈硬化を引き起こし、高血圧や心筋梗塞の原因となります。

無機リンは、ハム・ソーセージ・ベーコン・インスタント食品に多く含まれ、清涼飲料水にも含まれます。外食やファストフードは当然ですが、要注意です。

運動の効果はどのくらいあるのか

10分間の運動でも、血圧に関しては効果があります。
日本人を研究対象としたもので、通勤時間の片道の歩行時間を
「0〜10分」、「11〜20分」、「21〜30分」の3つに分けて、高血圧や糖尿病の罹患率を調べたところ、歩行時間が長くなればなるほど、罹患率が下がる傾向にあることが報告されています。
座っているよりも、少しでも動くことが大切です。

睡眠の質の改善(睡眠時無呼吸症候群について)

十分な休息と睡眠の質は高血圧と関連があります。
寝る時間が短い(6時間未満が続く)と、日中の作業効率も下がり、自律神経の乱れで血圧も上がると言われています。
睡眠の質に関しては、
日本人に多い、睡眠時無呼吸症候群は大きな問題です。

・寝ている時にいびきをかくことを指摘されたことがある人
・寝ている時に呼吸が止まっていると言われたことがある人
・寝起きにスッキリした感じがない人
・朝から血圧が高い人
・日中の強い眠気がある人
・日中に倦怠感やだるさが抜けない人
は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が止まることで、体内の酸素濃度が低下し、交感神経亢進状態となり、血圧が上昇します。

体格的には肥満傾向に多いとされますが、日本人は顔などの骨格的な問題で、痩せているというだけで否定は出来ません。

治療は、CPAP(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)という、
寝ている間、気道に持続的に圧力をかける機械を装着することで行います。
実際に治療を行うと、これだけで高血圧が治った人もいますし、寝起きの爽快感や日中の眠気の消失などを訴える方が多いです。

睡眠時無呼吸症候群は、医療機関で比較的簡単にチェックできるので、可能性がある人は一度検査をお勧めします。

今回のまとめ

年齢が上がると血圧は上がっていく傾向になりますが、
諦めるのではなく、養生でも出来ることはいくつもあります。
1つ1つの降圧効果は強くないかもしれませんが、併せることで効果を期待出来ますし、高血圧以外の生活習慣病にも効く養生だと思います。
ぜひ、意識して生活してみて下さい。

漢方雑談について

こちらは、毎週火曜日21時〜30分間やっている
漢方フリートークをまとめたものになります。

次回は、10月8日(火)21時〜です。
テーマは、「総合診療科って何?漢方と総合診療科の相性」
で話をしたいと思っています。

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