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漢方雑談 9/24の振り返りをします

9月24日(火)21:00〜30分間
今回のテーマは、
高血圧に対する東洋医学的アプローチ


血圧とは

まずはそもそも血圧って何?という話から
健診などで血圧測定は誰でもやったことがありますよね?
120/60mmHgなどと結果を伝えられます。
この時の大きい方の数を上の血圧、小さい方を下の血圧といいます。

上の血圧は別名:収縮期血圧といい、
心臓が収縮する(心臓から血液を全身に送り出す)時に、
血液が血管の壁を押す力を表しています。
下の血圧は別名:拡張期血圧といい、
心臓が拡張する(心臓に全身から血液が流れ込む)時に、
血液が血管の壁を押す力を表しています。

ちなみに、血圧の単位は、mmHg。
読み方は、そのまま「ミリメートル・エイチジー」で OK。
Hgは水銀のことを示していて、
120mmHgだと、120mm (= 12cm)水銀を垂直に上げる力。
という意味になります。

血圧を規定するもの

血圧=心拍出量(心臓から送り出される血液の量)✖️
末梢血管抵抗(血液の流れにくさ)
で決められます。
これを覚えておくと、こうなったら血圧はどうなるだろうか?
と結果を想像しやすくなると思います。

たとえば、
血液の量が少なくなる→心臓から送り出される血液の量も減る→血圧は下がる、血管が拡張する→血管の抵抗が減る→血圧は下がるとなります。
一方で、
血液の量が多くなったり、血管が収縮したり、硬くなったり、血液の粘稠度が上がる(ネバネバする)と血圧は上がります。

また、年齢が上がることで、血管も老化してくるため、しなやかさを失い硬くなります。すると、どうしても血圧は上がってしまいます。

高血圧は何が悪いのか、怖いのか

それは、
高血圧が、脳卒中(脳梗塞・脳出血)や心血管疾患(心筋梗塞・狭心症・心不全・大動脈疾患)の最大の危険因子であるためです
(この先これらを脳心血管病として記載します)。

では、どのくらいの血圧から、危険度が上がるかですが、
血圧が120/80mmHgを超えた場合に、
血圧の数値が130/85、140/90、160/100、180/110と上昇すればするほど、
脳心血管病による死亡のリスクが上昇傾向となると言われています。
そして、その上昇の傾きは、若年であればあるほど、急になります。
下のグラフを見て頂けると一目瞭然ですが、
中壮年者(40-64歳)では、グラフの傾きがかなり急です。
一方で、右側のグラフに行くほど、傾きはなだらかになっています。
これは年齢が上がると、脳心血管病死亡に関する血圧の影響が
少なくなっていくことを示しています。

高血圧治療ガイドライン2019より
40-64歳、65-74歳、75-89歳の年代別血圧レベルと脳心血管病死亡ハザード比
(120/80mmHg未満を1とした時にどれだけリスクが増えるか)

若い時こそ、より血圧への意識を高めるべき

ということで、若い時ほど血圧上昇が脳心血管病による死亡リスクになることがわかって頂けたと思います。
さらに、若い時に血圧が高いと、
認知症発症のリスクも上がると言われていますので、
若い時こそ、より血圧を意識して欲しいと思います。

高血圧の基準値の推移

以前は、血圧180/100、年齢+90までは問題ない
と言われた時代もありました。
しかし、データが蓄積することで、血圧が高いことのリスクが目立つようになり、基準値は下げられ、今の値に至ります。
日本の高血圧の基準は、
診察室で140/90 mmHg、家庭で135/85 mmHg 以上としています。

家庭でという言葉が出てきましたが、
血圧測定は家庭で行うことを推奨しています。
診察室では緊張したり、安静を保てなかったり、月に一回の受診の時だけしか分からなかったりと不安定な要素が多いためです。

高血圧への向き合い方と治療
東洋医学的アプローチ

治療の第一選択は、降圧薬。
それは読んで字の如く、血圧を降下させるために作られた薬であり、
漢方薬の中には降圧薬に勝るもしくは同等の効果のあるものはないのが現状です。
もし、以下のような場合には、まずは降圧薬を飲んでしっかりと血圧を下げることをお勧めします。
・血圧が既にかなり高め(160/100 mmHg)
・心臓や脳の病気になったことがある
・慢性腎臓病や糖尿病、肥満症が指摘されている、治療中である
・高血圧関連の血管の病気の家族歴がある

そうなると、漢方薬や養生などの東洋医学的アプローチの出番はないじゃないか、となるかもしれませんが、
以下のような場合には、薬を飲む前に出来ることがあるかもしれません。
・徐々に血圧が高めになっている(130-150台)
・最近太ってしまい、血圧も上がってしまった
・ストレスやイライラ・睡眠不足など精神的に安定していない

更年期は血圧が落ち着かない

更年期になると、血圧が安定しない、血圧が乱高下する、のぼせ、ホットフラッシュが症状として出てくる。と、血圧に関する悩みも増えてきます。
その理由は、
更年期になると、女性ホルモンのエストロゲンが減少するからです。
エストロゲンには、血管拡張作用や血管をしなやかにし柔軟性を持たせる作用があります。
そのため、エストロゲンが減少すると、血管はしなやかさを失い、収縮しやすく、硬くなります。
すると結果的に、血圧が上がりやすくなってしまいます。
このホルモンの変化が緩やかに起きてくれるといいのですが、 大きく変動しながら起きることが多いため、 それに伴って、ほてりやのぼせ、血圧の乱高下、イライラ、頭痛、肩こり、動悸などさまざまな症状が出現します。

肥満や糖尿病があると、血圧は上がりやすい?

肥満や糖尿病は高血圧のリスク疾患です。
肥満では過剰な脂肪細胞が、また高血糖状態となると体の中で、
慢性的な炎症が引き起こされます。
その炎症物質は、血管内皮を傷つけ、動脈硬化を引き起こしたり、
プラークを形成したりします。
それは結果的に、血圧が上がるだけでなく、
全身の血管を硬く、脆くしてしまうのです。

時間の関係で、今回はここまでとなってしまいました。
次回はいよいよ東洋医学的アプローチや養生の大切さをお話しします。

次回 10月1日 21時〜

・東洋医学的アプローチ
・高血圧とその周辺症状に保険適応の漢方薬
・生薬 釣藤鈎について
・養生で出来ること
をお話しします。

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