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高校野球の地方大会

 それは、地方予選大会の一回戦のことだった。
 私は、暇つぶしに、球場を訪れていた。
 今では、どうか知らないが、高校野球の、それも地方予選の一回戦となると、観客など、余程の強豪校でなければいない。
 母校であっても応援に行く者も無いに等しい。
 私のような、暇を持て余した人間がチラホラいるだけであった。

 その試合は、強豪ではないが、県のベスト8くらいまでは、たまに顔を出すかなというチームと、女子高から共学に変わって1年目の学校であった。
 つまりは、編入でもなければ、1年生ということだ。
 3月までは中学生だったチームと、普通の高校生のチームだ。
 普通に考えると勝てるはずがない。

 ところがだ。1年生のエースの投げる球を相手チームは振ることすら出来ないのだ。

 気がつくと9連続四死球という、記録を残したところで肩を痛め、1年生エースは外野に下がった。
 もちろん、人数ギリギリなので、控えの選手などいないのだ。

 その後の結果、先ほどまで左翼を守っていた急造のピッチャーのは、打たれまくり、さらには他選手がエラーをしまくり、1回で2安打8失策16得点という、とんでもない数字となった。

 もちろん、打つほうも、ままならず、結局コールド5回までで、ポテンヒットぎみの安打が一つあっただけだった。
 その後相手も打ち疲れ、最終的に32対0というスコアボードでは無かったかと思う。

地方予選には、そんな試合がいくつもあり、そこにはそこでのドラマがある。

(ここまでで10分)

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