脳が目覚める!賢い子は朝食で育てよう
働く親にとって朝はとにかく時間との勝負。特に小さな子どもを抱えた家庭では、朝食をササッと済ませて出かけられるのが理想です。
しかし、現実はそう簡単ではありません。前日に遅く寝てしまったり、朝起きてから不機嫌だったり、食べムラがあったりと、朝の支度がスムーズに進まないこともしばしば。忙しい朝に、子どもがしっかり栄養をとりながら、脳の発達にもつながる朝食を用意するのは悩みのタネですよね。
そこで今回は、医師・上級食育アドバイザーとして、忙しい朝でも無理なく取り入れられる、栄養バランスの取れた朝食のコツを紹介します。脳と身体の発達をサポートするためのポイントを押さえて、賢い子どもを育んでいきましょう!
健康で賢い子の基礎は朝食から
朝食はただ空腹を満たすだけではなく、子どもの脳の発達に深く関わっています。これを示すさまざまな研究が存在します。例えば、Adolphusらが実施した研究【Adolphus, K., Lawton, C. L., & Dye, L. (2013).】では、朝食を毎日とる子どもは、とらない子どもに比べて集中力や学習成績が高いことが明らかになっています。この研究では、朝食を食べた子どもたちが授業中の集中力を維持しやすく、テストの点数にもポジティブな影響を与えていることが確認されています。
また、Wesnesらの研究【Wesnes, K. A., Pincock, C., Richardson, D., Helm, G., & Hails, S. (2003).】では、朝食をとらない子どもたちで、特に午前中に集中力や記憶力が低下しやすくなることが示されました。これにより、朝食をとることで脳の働きを維持し、学習効率を高める効果があるとされています。
文部科学省が実施した「令和5年度 全国学力・学習状況調査」の結果はこれを裏付けています。この調査では、毎日朝食を食べる子どもは、朝食を抜くことが多い子どもよりも成績が良い傾向があるという結果が出ています。朝食を「全く食べていない」と回答した子どもと「毎日食べている」と回答した子どもの間では、国語と算数の成績が平均して15ポイントほど差があり、朝食をとることが学力向上に重要であることが示されています。
この傾向は学力に限らず体力にも影響しています。同年にスポーツ庁が実施した「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」では、朝食を毎日とっている子どもは、そうでない子どもに比べて、体力テストの結果も良いという結果が出ています。朝食をとることで子どもの体力が向上し、スポーツや運動のパフォーマンスにも良い影響を与えることが確認されています。
これらのデータからもわかるように、朝食は子どもの学力や体力の基盤となり、日々の集中力を支える重要な食事です。特に成長期の子どもにとって、朝食を欠かすことなく、毎日しっかりと栄養をとることが、将来の知能や学力、そして健康にもつながるのです。
朝食の質や摂取方法にも工夫を!
朝食は食べること自体が重要ですが、「何をどのように食べるか」も同じくらい大切です。
瀧 靖之氏の著書、「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える『賢い子』に育てる究極のコツ」(文響社)によると、菓子パンやジュースなど糖分が多い朝食を日常的にとる子どもは、栄養バランスの取れた食事をとる子どもに比べてIQが低い傾向が見られるようです。
菓子パンのような簡単な朝食をたまに食べる程度なら問題ないでしょう。しかし、習慣的にとる朝食には子どもの脳をしっかりと活動させる食品を選びたいところです。そこで、朝食メニューを考える際に押さえたいポイントを3つ紹介します。
1. 低GIな主食を選ぶ
朝食で重要なのは、脳に必要なエネルギーを持続的に供給すること。脳はエネルギー源としてブドウ糖を使いますが、血糖値が急激に上下すると集中力が途切れやすくなります。これを防ぐためには、血糖値の上昇が緩やかで、十分な量のブドウ糖をゆっくりと持続的に脳に供給できる、低GI食品を選ぶのが効果的です。
GI(グリセミックインデックス)とは、炭水化物を摂取した後の血糖値の上昇速度を数値化したものです。低GIの食品は血糖値の上昇が緩やかで、長時間にわたって安定したエネルギー供給が可能になります。このGI値が55以下の食品が低GIに分類されます。
朝食に取り入れると良い低GIの主食には、玄米、オートミール、全粒粉のパン、ライ麦パンなどが挙げられます。逆に、白米や食パンなど高GIの主食は、血糖値の急上昇を引き起こしやすく腹持ちもあまり良くないので、朝食には控えめにすると良いでしょう。
2. タンパク質と一緒にとる
とはいえ、白米や小麦パンも食べさせたいところ。実は、GI値が高い主食であっても、タンパク質を一緒にとることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。特に低GIの主食は消化の負担が大きく、小さい子には量を多く食べさせることができないので、十分なエネルギーを確保するためには高GIの主食とたんぱく質が豊富な食品の組み合わせが効果的です。
例えば、食パンにチーズや卵を乗せて、付け合わせにソーセージと飲み物の牛乳を出すだけでもOKです。和食であれば、白米に焼き鮭や納豆か豆腐などの大豆食品を組み合わせると、バランスの良い朝食が手軽に作れます。
3. 食物繊維も一緒にとる
食物繊維も朝食時に摂取すると良いです。炭水化物の吸収が遅くなるため血糖値の急激な上昇を抑えてくれるほか、腸内環境を整える効果もあります。食物繊維の多い野菜や果物を取り入れることで食事全体の栄養価が高まり、さらにバランスの良い朝食になります。
前日の夕飯のときに野菜スープや野菜の味噌汁を多めに作っておき、朝食に残りを出すのも簡単なのでオススメです。ほかには、さつまいもやキノコ類なども、食物繊維が豊富で低GIな食品なので、ふかし芋にしたり、キノコソテーにしたりして、朝食に取り入れてみるのも良いですね。
★ わが家の定番
忙しい日の娘の朝は、オートミールと牛乳とバナナのミルク粥が定番!オートミールに適当に切ったバナナと牛乳を加えてレンジで温めるだけなので、作るのも手軽。ちなみにバナナは冷凍でも大丈夫!
このメニューでなくとも、バナナは低GIで食物繊維も豊富。皮を自分で剥いて食べられるようになると楽なので、今ではほぼ毎朝食べさせています。他にも、ヨーグルトにりんごを加えたり、簡単な具材の組み合わせで、忙しい朝でも無理のない朝食を準備しています。
簡単な準備でもしっかり栄養
朝食メニューを考えるときは、栄養バランスなどをあれこれ考慮しながら完璧を目指す必要はありません。自分がストレスを感じない範囲で段階的に工夫していくと良いでしょう。例えばよく欠食する子だったら、まずは本人が毎朝欠かさず食べるものを出すよう意識することから始めます。ちゃんと毎日食べるようになったらそこに乳製品や野菜などを少しずつ追加していく、というような具合で進めてみてください。
大切なのは、無理をせずに続けられること。毎日の朝食が、子どもの健康な身体と脳を育む土台となることを意識しながら、子どもの様子を観察して少しずつ工夫していきましょう。忙しい朝でも簡単に準備できる栄養バランスの取れた朝食で、子どもの脳を覚醒させ、ぜひ賢い子を育てましょう!
では!あゆより「脳が目覚める!賢い子は朝食で育てよう」をお届けしました。「スキ」していただけたら励みになります!最後までお読みいただきありがとうございました!
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