インフルエンサーは起用しなくても良い?お客様の背中をそっと押すライブコマースとは。
接客を受けたい人とそうでない人
みなさんはお店に行って接客を受けたいですか?
人によっては店員さんと話すと欲しくなくても買わないと申し訳ないといったプレッシャーを感じて苦手に思う方も少なくないでしょう。逆に店員さんとあれこれ相談しながら購入するものを決めるのが楽しいという方もいらっしゃると思います。
見たい/買いたい商品の種類にもよりますね。詳しくない商品を購入する際には、もちろん事前にネットで十分調べますが最終的には店員さんに分からないことを質問・相談した上で購入を決める方も多いのではないかと思います。
”巣ごもり消費”によるライブコマースサービスのニーズの高まり
新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの人々が極力外出を控え、自宅で買い物を済ませることを”巣ごもり消費”と呼ぶようになりました。この巣ごもり消費のニーズに対していかに取り組むかが小売やメーカー系企業にとって大事なテーマとなってきていることを僕は最近ひしひしと感じております。
特に問合せやご相談を最近多く頂くのがライブコマース型ソリューションやサービスの立ち上げについてです。ライブコマースはこれまではどちらかというと若年層向けにソーシャルメディアもしくはライブ配信アプリでインフルエンサーによるリアルタイムでの商品販売を行うイメージが強かったのですが、少しずつ確実にライブコマースの認知が他の年代にも拡がっていることと、先述の巣ごもり消費のニーズによって、幅広い層に知られるようになってきました。また、ライブコマースの形態も、1人の配信者が多数に向けて商品を紹介するタイプから、1対1や1対少人数で行うタイプの配信も人気になりつつあります。
ライブコマースを企業が実施するメリット
ライブコマースのポテンシャルとしてよく知られるのが成約率が非常に高いということです。元々その商品を買いたいから視聴しているという面もあるとは思いますが、一般的Eコマースサイトと比べると圧倒的に1ユーザーあたりの制約(CV)率が高いという側面は実際に多くの取り組みで見られる現象です。例えば三越伊勢丹は今年精力的にライブコマースの配信を実施しており、合計視聴者数は3万人超、お中元オンラインストア全体の売上も前年の約2倍と、非常に大きな反響を得ていらっしゃいます。
ライブコマースにインフルエンサー起用は絶対に必要?
ということは、このような施策を多くの企業が実際に行ってみようとする場合、インフルエンサー起用は大前提になってしまうのでしょうか?僕はそうとも言えないのではないかと考えています。
三越伊勢丹の事例の成功要因としてもう一つ考えられることとして、お歳暮やお中元といったギフト商品をライブコマースで紹介したことも、その1つに挙げられると僕は個人的に考えています。このような商品はギフトをお送りする相手のことを思って商品を選ぶ必要があり、お送りする相手によってはマナーやセンスなど気にしないといけないファクターがいくつもある商品です。そのような商品選定を行う過程において”商品選びのプロ”からのアドバイスは非常に心強いものとなります。
そしてそのプロならではのアドバイスが非常に得意なのが店頭にいらっしゃる店員さんなのではないでしょうか。
お店の販売スタッフへの新たな仕事の提供という価値
接客のプロであり自社商品を誰よりも知っている店員さん販売員さんは今、コロナ禍で仕事が減少しており最悪の場合職を失ってしまった人も少なくありません。そんな環境下にあって、購入に迷いがある顧客と、接客をしたくてもできない店員双方のオンライン上の接点となるライブコマースはひとつの有効な解決策に今後なってくるのではないかと期待できます。
その場合、店員は必ずしもインフルエンサーのような強い集客力はないかもしれませんが、オンラインで訪問してもらった顧客に対し1対1できめ細かな接客を行い、お客様が最終的に納得して購入して頂くためにそっと背中を押してあげることで購買に繋げるスキルをお持ちです。そのような最後のひと押しはもしかしてインフルエンサーよりも実際の店員さんのほうが上手かもしれません。要はマーケティングの施策としてたくさんの人を集めたいのか、或いは集めた人を確実に購買にまで至らせたいのかの違いとも言えると思います。
アパレル系企業や百貨店などを中心に、このような1対1の対話型のライブコマース事例が少しずつ世の中に出てきています。個人的にはこの形態のサービスはもっと人気が出るのでは?と考えておりますので、引き続きこのnoteで取り上げて行きたいと考えています。
では次回をお楽しみに!