【書評】岸田秀『一神教vs多神教』
今回は、ちょっと「毒」のある本を紹介します(「刺激が強い」という意味で)。
岸田秀『一神教vs多神教』(2002年)
岸田氏は心理学者で和光大学名誉教授、本書がどんな内容か紹介するため、目次を以下にリストします。
第1章 一神教は特異な宗教である
第2章 自我は宗教を必要とするか?
第3章 なぜ多神教は一神教に負けるか?
第4章 科学も一神教か?
第5章 正義はなぜ復讐するか?
第6章 一神教は戦争の宗教か?
第7章 イスラムはなぜ聖俗分離できなかったか?
どうでしょう、日本で万人受けする内容ではありませんが、刺さる方も一定割合いそうに感じます(比較文化論が好きな方とか)。
私が最も衝撃を受けたのは、『第1章 一神教は特異な宗教である』です。約20万年前、アフリカで現生人類の共通祖先である黒人種が発生します。その後、どのようにして白人種が発生したのか。そこから何故、人種間差別が現在も根深く蔓延しているのか、岸田氏独自の洞察が綴られています。
岸田氏は学者ですので、「このように考察する根拠は、これである」というのが、随所に述べられています。しかし人によっては、本書の内容を否定したり、不快感を持つことがあるかも知れません。私は(自身としては)ニュートラルな視点で本書を読みましたが、読後、ちょっとだけ世界の見方が変わりました。いろんな意味で、刺激が強い本だと感じます。
以上、お読み頂きまして、誠にありがとうございます。