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野獣を解き放つ映画

パージを観る。
プラチナム・デューンズ製映画の二代巨頭と言えばこれとクワイエット・プレイスだろうが、個人的にはこっちの方が世相を如実に反映していて面白い。
2013年の作品なのにもかかわらず「ロックダウン」というワードが出てきたり(まあ向こうじゃ割と使われるのかもしれんが、俺はビビットに感じた)、独裁政治や人種差別や格差問題に関する事柄がそこはかとなくにじみ出ており、エクスプロイテーション映画の良さが最大限発揮されていると感じた。
また、この手のジャンルでありがちなおバカな主人公たちの行動も上記のテーマと照らし合わせるとまんざらバカにできたものでもなく、たとえ死んだとしても自らの良心を愚直に貫ぬかねばと決心する様は涙を誘う。
単純なエンタメ映画でありながらもそこに社会性を帯びさせる中々の傑作である。これは公開当時よりも今のほうが切実に響く映画なのやもしれぬ。

製作がマイケル・ベイ傘下のプラチナム・デューンズ(と『ハッピー・デス・デイ』などを手がけたジェイソン・ブラムのブラムハウス)ということから、マイケル・ベイを軽んじる人にとっては「下らない映画」という先入観を抱くかもしれないが、それでもこんな社会的な映画を作ってしまうあたり「やはりマイケル・ベイはかなり常識的で良心的な人間なのだなあ」と思うのであった。

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