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君たちは腰を落とし、観測刀の鯉口を切った。 朧鮫革が巻かれた天正拵えの柄が、掌に吸い付くように馴染む。 重厚で淀みがない動作。君たちは自分がなぜこのような所作を取ることができるのか疑問に思った。 目の前には、鵺の姿。 闇黒の中に饐えた虹色を含んだ、八間三尺の巨体。 立ち上がった蟷螂にも、明王の骨格標本にも見える。細部は不安定に揺らめき、雑像のようにチラついていた。 その姿に意味がないことを、君たちは知っている。 瞬きをひとつ。 ただそれだけで鵺は仔犬ほどの大