マガジンのカバー画像

物語

29
小説集。
運営しているクリエイター

#逆噴射小説大賞2022

熒惑の星

熒惑の星

時の流れが逆行していく。減少する、エントロピー。
そしてぼくは、軽功をもって雷霆の一閃を回避する。
安堵の一息。
全ての条理は無事に世を遡って還ってきたのだ。
 
無傷の君を、腕に抱きかかえる。
(二)


↓──おかしい。
巨頭は訝しんだ。
時空を超えて未来へ跳躍する霹靂柱の雷霆は狙いを過たない。
あの時、たしかに標的を捉えていた。逃すことはあり得ない。
否。
巨頭は邪眼をもって望界する──事

もっとみる