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物語

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小説集。
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#逆噴射小説大賞2020

灰被りの魔女 ─ バトルプリンセス・シンデレラ ─

灰被りの魔女 ─ バトルプリンセス・シンデレラ ─

「出てこいババァ!」
 深夜、爆音と共に屋敷の扉が破壊されたかと思うと、現れる人影/少女。
 背後に大輪の月を頂く姿は一見、高貴な出自の魔女に見える。だが、先ほど発された粗野な言動や、殺意にギラつく瞳が、決してそのような上質な生を送ってはいないことを示していた。
 少女は全身が地味な灰色の襤褸で覆われていたが、唯一その隙間から覗いた白く細い脚が突っかけた、ガラスで編まれた靴が月明かりに照らされて輝

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葬夢

葬夢

 夢の中で死んだ君に会った。
 奇妙な夢だった。
 ぼくは海辺を歩いている。空に架かった星々は普段とは様相が異なり、真っ黒な背景に宝石箱をひっくり返して大小無数の宝石を塗したかのようで、木星みたく巨大なものもあれば、英文字のiの点ほど小さいものもある。まるで壮大なステンドグラスだ。荘厳な眺めだが、同時に深い海の底を覗き込んでしまった際に覚える心許なさに似たものを感じた。
 海の方も見慣れたものから

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壁の外の陽だまり

壁の外の陽だまり

 走る走る。ぼくらは疾走する。
 過去は後ろに置いて来た。視界には鬱蒼と茂る青々とした田園の稲、そこを貫く一本の農道。横に等間隔に並べられた照明、電柱。遠くには夕焼けを逆光にそびえ立つ鉄塔。暗雲。
 逃げ出してきたぼくらを圧倒するかのように、それらは迫ってくる。それでもぼくらは止まらない。風で湿臭い農道を、自転車のペダルを踏み込んで疾走する。荒れた農道の走行は、ぶれ続けるハンドルにしがみつくので精

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