「キーボードはHHKBで終わり」だと思ってた──気づけば40%沼の住人に
「キーボードなんて打てれば何でもいい」
そう思っていた時期が、俺にもありました。
だけど、一度こだわり始めると最後。最初はHHKBに感動し、ロジクールのゲーミングキーボードでメカニカルの沼に入り、気づけばキー数を削りに削って40%キーボードに落ち着いてしまった。
「そんなにキーを減らして使えるの?」
──はい、使えます。そして、これが最高なんです。
これは、普通のキーボードユーザーだった俺が、40%キーボードにたどり着くまでの記録である。
HHKBが最強だと思ってた
俺が最初に「良いキーボード」を求めたのは、大学時代にプログラミングを始めた頃。適当に買った1500円ほどのキーボードがあまりにも打ちにくく、手が疲れるのをどうにかしたかった。
そこで見つけたのがHHKB(Happy Hacking Keyboard)。
「プログラマーならHHKB」「一度使ったら戻れない」
そんな評判を信じて、清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入。
……結果、めちゃくちゃ良かった。
静電容量無接点方式の軽いタッチ、コンパクトなサイズ感、独特のキー配置。最初は違和感があったけど、慣れてしまえば手放せなくなった。「これが最高のキーボードなのでは?」と本気で思った。
でも、人間は欲深い生き物だ。
「他のキーボードはどうなんだろう?」と興味が出てしまったのが、地獄の始まりだった。
ゲーミングキーボードの快楽を知る
「HHKBは最高だけど、メカニカルスイッチも試してみたい」
そう思った俺は、評判の良かったロジクール G913 TKLを購入。HHKBと違い、派手なRGBライティングが光り輝く、いかにもゲーミングなキーボードだ。
そして、触った瞬間に思った。
「これ、めっちゃ気持ちいいぞ?」
HHKBの静かでスムーズな打鍵感とは違い、カチッとした感触が指に伝わる。しかも、RGBのギラギラした光が妙にテンションを上げてくれる。
「なるほど、これはこれで楽しい」
しかし、ここでまた新たな疑問が生まれる。
「メカニカルスイッチって、種類がめっちゃあるらしい?」
──これが、自作キーボード沼への第一歩だった。
自作キーボードに手を出したら最後だった
メカニカルスイッチには、リニア、タクタイル、クリッキーといった種類がある。調べているうちに「スイッチを自由に交換できるキーボードがある」と知り、気づけばKBDfansのKBD67 Liteというカスタムキーボードキットをポチっていた。
このキット、ホットスワップ対応でスイッチを自由に変えられる。
試しにいくつかのスイッチを買い、挿し替えてみた。
Gateron Ink Black(リニア)→ すべすべで高級感ある打鍵感!
Holy Panda(タクタイル)→ クリスピーでめっちゃ気持ちいい!
Kailh Box Jade(クリッキー)→ うるさいけど爽快感がやばい!
この時点で、俺の中の「最高のキーボード」の定義が崩れた。
「キーボードは完成品を買うもの」ではなく、
「最高のキーボードを自分で作るもの」なのでは……?
40%キーボードの魔力──キーが少ないのに快適!?
自作キーボードにハマっていたある日、Twitterで「40%キーボード」というものを見かけた。
キーが少なすぎる。数字キーすらない。
「こんなの使えるわけがない」と思ったが、どうにも気になってしまい、気づけばVortex Coreという市販の40%キーボードを買っていた。
案の定、最初は地獄。
数字を打つのにFnキーが必要(めんどくさい)
矢印キーもレイヤー切り替え(イライラする)
エスケープキーすら遠い(心が折れそう)
しかし、1週間ほど使っていると、驚くほど手が動くようになってきた。
「レイヤー操作に慣れると、むしろ手の移動が減って楽じゃないか?」
そして次にこう思う。
「もっと自分好みにカスタムできないか?」
──そうして俺は、40%分割キーボードのLily58を自作することになる。
Lily58を作ってしまったら、もう戻れない
はんだ付けが必要な本格的な自作キーボードキット。最初はビビったが、動画を見ながら慎重に組み立てた。
完成したLily58を初めて打った時、俺は確信した。
「これが……俺の理想のキーボードだ……!」
指をほとんど動かさずに全キーを打てる快適さ
カスタマイズ自在なレイヤーでストレスゼロ
デスクが広く使えて、タイピングが楽しい!
最初は「こんなの使えるわけがない」と思っていたのに、今ではもう普通のキーボードに戻れない体になってしまった。
その後... 「キーボードはこれで完成!」……のはずが、トラックボールが気になり始めた話
40%キーボードを自作し、Lily58を手に入れた時、俺は思った。
「これが……俺の理想のキーボードだ……!」
キーの数は必要最小限、レイヤー操作でストレスゼロ、分割式だから手の位置も自由。もはやこれ以上の進化はないはずだった。
……が、数ヶ月使ううちに、ある問題に気づいてしまった。
「マウスの移動、めんどくさくね?」
キーボードが完璧になったことで、マウスへの移動がやたら気になるようになったのだ。
40%キーボードはとにかくコンパクトで、手の移動が最小限になるのが魅力。でも、マウスを使う時だけは手を大きく動かさないといけない。せっかく効率的なキー配置を手に入れたのに、マウス操作だけが浮いている気がする……。
そう思って調べていたら、見つけてしまった。
「トラックボール一体型の自作キーボード」という存在を。
トラックボール一体型?それ、最高じゃないか?
トラックボールというのは、マウスの代わりに親指や手のひらでボールを転がしてカーソルを動かすデバイス。普通のマウスみたいに動かさなくていいから、省スペースかつ手の移動が少なくて済む。
しかも、それをキーボードに組み込んでしまえば、指先だけでカーソル操作ができるのでは?
そう思って調べていると、こんなものがあると知った。
1. TBK Mini
片手40%キーボード+トラックボールの自作キット。左手デバイスとしても使えるし、カスタマイズ性が高い。
2. Dactyl Manuform + トラックボール
エルゴノミクス分割キーボードに、親指トラックボールを搭載するカスタム例。立体的な形状で超快適そう。
3. Ploopy Keyboard
フルサイズのキーボードにトラックボールを埋め込んだモデル。トラックボールの操作性は抜群らしいが、サイズが大きめ。
どれも魅力的すぎる……。
そして俺は、また新しい沼を覗いている
もともとは「タイピングが快適になればそれでいい」と思っていた。
しかし、40%キーボードを極めた結果、今度はマウス操作の効率が気になり始めた。
「キーボードはこれで完成!」と思ったはずなのに、また新しいカスタマイズを考えている。
……たぶん、俺は一生この沼から抜け出せないのかもしれない。
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