恋の栞
夏を待ちきれなくて
淡いソーダ水を飲みほす
喉をたどる甘い汗
恋した日の
痛み消えぬまま
低い雲と優しい雨
見守る紫陽花
一輪の傘が咲く
愛する人がいる
逢いたい人がいる
この胸に降る哀しい雨が
いつか止む日は来るのかな
夏に抱かれたままで
青い日々の光
遠ざかる
声も届かない海で
行き場のない心さまよう
帰らぬ日々
帰らぬ君
わたしだけだよね
忘れられないのは
愛さえわからずに
恋焦がれて泣いた
永遠なんてありはしないと
知るための別れなのかな
夏を忘れられなくて
金魚鉢をなぞる指先
頬を一筋の涙
もうさよなら言おう
深呼吸
染まる空と冷たい月
今も愛してる弱さを隠すように
愛した人がいる
別れる意味を知る
強くなれない
忘れられない
自分にさよならするため
夏を忘れるように
あなたじゃない人を想っても
きっと比べてしまう
もっと思い出してしまうから
どこか遠い空の下で
あなたは違う物語を紡ぐ
閉ざした窓を開け
新しい風を呼ぶ
明日の行方は見えないけれど
恋の栞にあなたの名前を刻んで飛ばすわ